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2024/09/23
 麝香

 教えてよ、艶のある肉厚の唇がゆるく弧を描く。思ったよりも背の高い彼女の、濃い琥珀色の瞳がすぐ近くに来て、サイアスはすっかり困ってしまった。
「あの石は一体何なの?」
 会議の帰り、柱の影から滑るように歩み寄ってきた彼女が、挨拶も駆け引きもそこそこに切り出してきた質問に、サイアスは心中で来た、と呻く。
 絶対来ると思ったんだ。石一つのためにわざわざ魔界への扉を開くことに、一番不満そうにしていたのは彼女だったから。あとついでに、何も知りませんよ、という演技が上手くできた自信もなかったし。
「皇帝陛下も大魔導も教えちゃくれない。でもあの石はただの宝石なんかじゃないでしょ?」
 さあ、適当な返事をサイアスは返す。彼はあれが何なのか、どういう物なのか知っている。彼が生まれたのは、まだ誰もがそれが――あの聖龍石がどういう石かを知っている時代だった。
 サイアスは、別にあの石がどういう物か、彼女に教えてしまっても良いのじゃないかと思っている。少なくとも彼女――シルヴィはあの聖龍石に魔王が封じられていた、いると知ったところで、何か愚かな行動に出るような人物ではない。
 それでも大魔導ライセンが口を噤んでいるからには、それなりの理由があるのだろうし、サイアスもその決定に逆らうほどの考えを持っているわけでもない。
「確かに何か重要な石ではあるようだが、一体どのような物なのかは、私にも」
 くつ、と面白そうにシルヴィは笑う。
「誤魔化すのなら最初から誤魔化さなくちゃ駄目ね」
 ウィスキーみたいに酔えそうな瞳が、きらりと光って問うてくる。教えてくれたらもっと酔わせてあげる、そういう風に言っている瞳だ。
「私は貴方が何も知らないであの子達の魔界行きに同意するような、ボンクラだとは思ってないの」
 あでやかに光る唇で、彼女はそう言った。
 こんな風に迫られたらたまらないよなぁ、とサイアスは思う。彼だって、例えばシルヴィが腰に当てた腕の辺りで揺れている袖がセツナを連想しさえしなければ、少し秘密を漏らしていたかも知れない。

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 シルヴィさんのカードを見返したら、裏書きに書かれている性格が結構美味しいのですね、この人。
 最近カードの服装を注意してみるようになったのですが、何、この人セツナさんと同じ服着てる!わー……似てるとは思っていたけどここまで同じとは。こう……制服的な物なんでしょうかね、これは。

 聖龍石の秘密を知りたいシルヴィさんと、知ってるけど言えないサイアスとかが書きたかったのですが、なんだかよく解らなくなってしまいました。
 しかしうちのサイアスさんにとってセツナさんの存在はどれだけ大きいのかと。
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2008/08/17
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