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2024/09/23
 猟犬

 ぞわっとした感覚が首の後ろ辺りを駆け上がってきて、慌てて伏せて頭を上げたその斜め上辺りを、青白く発光する物体がもの凄い勢いで飛んでいった。
 声を上げる間もなく、爆発音。
 なんてことやってんだあいつは。
 もうもうとたっている土煙の所為でよく見えないが、どうやら雷で出来た矢は獲物ではなく地面に着弾したらしく、先ほどより激しく土煙が舞った。その土煙の中に、四足歩行するやたら大きな何かの影が一瞬見えて、それを目聡く見つけたのか何なのか、斧を放り出した誰かさんがさっきの矢の弾道を追うように飛び出していく。
 いや待て待て待て、何で本気モードなんだ。

「おい!あくまで捕まえるんだぞ、絶対殺すなよ!」
 いくら羅震鬼で、マキシが討伐の使命をおびていて、彼等人里で悪さを働いていたとしても、命は命だ。たった一つしかないものを、容易に奪うことは出来ない。一寸の虫にも五分の魂と先人達も言っている。
 …………って、そう説明したハズなんだけど。

 遠くの方で爆炎があがる。ああ、やっぱり連れてくるんじゃなかったかも知れない。メリル達と同じように、どこか遠くに待機させておくんだった。

「皆調子に乗りすぎてるなぁ」
 いつの間にかマキシの横に並んでいたクレアが言う。
「どうやって捕まえるか、作戦まで立てたのに。困ったものだ」
 結果的には袋小路に追い込めているから良いけれど。そう言ったクレアだって、実はあの羅震鬼を追いかけたくって仕方がないのをマキシは知っている。ただ、あの3人が追い込んだ羅震鬼が逃げないよう、人里を背後にしたここに残っているだけだ。

 力こそが全てという弱肉強食の法則に生きる彼等は、獲物を前にすると、まるで猫じゃらしにじゃれつく猫のように、楽しげに獲物を追う。それこそ、我を忘れて全力で。

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2008/08/13
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