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2024/09/23
 Dilemma

 よくやったよ、お前は。
 言えば、サイアスはまるで信じられないことを聴いた、とでも言うようにセツナを見上げた。
「……何だ、その豆鉄砲でも食らったような顔は」
 憮然として言ったセツナに、サイアスはだって、と戸惑ったように答える。
「まさかおじさんが褒めてくれるなんて、思わなかったんで」
「私が人を褒めるのがそんなに意外か」
 サイアスは慌てて手を振る。
「そうじゃなくて、……そうではなくて、ですね、」
 少し迷ったようにしてから、彼は、怒られると思ってたんです、と言った。
「戦争して、褒めてもらえるなんて思わなかったんです」
 まるで悪いことをした子供が告白するときのような、勢いのない表情と声音で言われて、セツナは息を吐いた。
 最前に勧められたが腰掛けなかったベッドサイドの椅子が、所在なさげにぽつんと置かれているのを見遣る。引き寄せて、座ってもいいか、と問えば砂色の頭がこくりと頷いた。
「……何故そう思う?」
「おじさん、そういうのに巻き込まれるのが嫌だから、隠居したんじゃないんですか」
「外れてはいないな」
 嘘ではない。セツナが姉と共に孤島に引きこもった理由は沢山あって、一番大きな理由は別にあったけれども、サイアスが言ったそれも理由の一つだった。
「やっぱり」
「それで、お前が地上軍の先頭に立って指揮したから私が怒っていると思ったわけか」
「違うんですか」
「馬鹿者」
 一蹴すると、う、とサイアスはそれこそ怒鳴られた子供のように首を竦める。もういい歳なのだからいちいちそんな過剰な反応をしなくてもいいと思うのだが、どうもこればかりは幼いときからの反射らしい。
「お前には公爵としての責務があった。義務を放り出すようなことは決してしないと言ったのは、お前自身だろう」

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「まりあさまがみてる」の後にあたる話。未だベッドに押し込められたままのサイアス氏とセツナさん。
 多分こんな真面目な話の後、まあ私が今回の戦争でお前を最も評価したいのは、あの趣味の悪い仮面を外したところだがな。趣味が悪いってなんですか、それにあれは外したんじゃありません、壊れたんです!とか、そんな会話があるんじゃないかと。
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2008/07/16
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