「俺、公爵になろうと思うんですよ」
唐突にやってきた、かつての部下の息子の発言に、たっぷりと3秒は間をおいてから、セツナは口を開いた。
「……熱でもあるのか」
「酷っ、おじさん酷い!」
「冗談なら余所でやりなさい」
「俺、おじさんに冗談言えるほど偉くなったつもり、無いですよ」
言えば、白い狐は眼鏡の奥の眼を細めて、本気か、と問うた。
「本気、ですよ」
「やめておけ」
間髪入れずに返った声に、サイアスは僅かに眉を寄せる。
「何でですか」
「お前に公爵が務まるとは思えない」
「やってみなきゃ解らないでしょう」
「四地域合同式典をすっぽかしたのは何処の誰だ」
「400年も前の事じゃないですか!それに俺、」
言葉を切って、サイアスは一つ息を吸う。台詞が一瞬止まったのは胸にあるわだかまりの所為だ。
「……嫌いなんですよ、記念品みたいな扱い」
「……なら、尚更やめておけ」
「ねえおじさん、俺だって何時までも子供じゃないんですよ。嫌だからって投げ出したりなんてしません」
「別にお前が無責任だから言っているわけじゃない」
「なら、」
「お前は何故公爵になろうと思った?」
「……それは、」
「もし長く生きることに罪悪感を感じてなら」
白い狐は、質の良い赤瑪瑙のような色をした目で、サイアスを見て言う。
「公爵などやめておけ。そんな覚悟で務まるようなものじゃない」
唐突にやってきた、かつての部下の息子の発言に、たっぷりと3秒は間をおいてから、セツナは口を開いた。
「……熱でもあるのか」
「酷っ、おじさん酷い!」
「冗談なら余所でやりなさい」
「俺、おじさんに冗談言えるほど偉くなったつもり、無いですよ」
言えば、白い狐は眼鏡の奥の眼を細めて、本気か、と問うた。
「本気、ですよ」
「やめておけ」
間髪入れずに返った声に、サイアスは僅かに眉を寄せる。
「何でですか」
「お前に公爵が務まるとは思えない」
「やってみなきゃ解らないでしょう」
「四地域合同式典をすっぽかしたのは何処の誰だ」
「400年も前の事じゃないですか!それに俺、」
言葉を切って、サイアスは一つ息を吸う。台詞が一瞬止まったのは胸にあるわだかまりの所為だ。
「……嫌いなんですよ、記念品みたいな扱い」
「……なら、尚更やめておけ」
「ねえおじさん、俺だって何時までも子供じゃないんですよ。嫌だからって投げ出したりなんてしません」
「別にお前が無責任だから言っているわけじゃない」
「なら、」
「お前は何故公爵になろうと思った?」
「……それは、」
「もし長く生きることに罪悪感を感じてなら」
白い狐は、質の良い赤瑪瑙のような色をした目で、サイアスを見て言う。
「公爵などやめておけ。そんな覚悟で務まるようなものじゃない」
たぶん2章の500年くらい前の話。
サイアスがセツナをおじさん、と呼ぶのは某サイト様の影響です。おじさん呼びがとても素敵だったので、呼び方だけお借りしました……
サイアスがセツナをおじさん、と呼ぶのは某サイト様の影響です。おじさん呼びがとても素敵だったので、呼び方だけお借りしました……
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( 2008/06/15)
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