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2024/09/23
 挽歌

 俺と同じように半身を魂獣とともに生きていても、既存の魂獣と人間を融合させているのと、人の身も魂獣の身も新しく生み出された俺とでは、やはり少し事情が違うらしい。
 里を訪れた使者(なんて曖昧な言い方をされたが、外海にある火群の里を訪れることが出来る奴なんてそうそう居ない)から届いたという書簡を畳みなおす。中の筆跡は、数十年前とそんなに変わってはいなかった。
 人の体が少しずつ死んでいく度に、魂獣の体が補って再生させてきた俺は、そうやって少しずつ老いから遠のいていって、結局今では殆ど人ではなくなってしまったが、麗雅は違ったらしい。
 たぶんそれで良かったんだろう。書簡を受け取った者によれば、使者はご子息に看取られて亡くなった、と言ったらしい。ならそれで良かったんだろう。それが良かったんだろう。
 書簡に記された日時は今日の夕刻。
 こんな体だ、人の世から離れて随分経つけれど。
「……行くか、イヅナ」
 傍らに置いた喪服の上着を掴んで、俺は部屋を出る。

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2011/11/06
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