忍者ブログ
小ネタ投下場所  if内容もあります。
 [PR]
 

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。




2024/09/23

平気なの、細く開けた戸の隙間から声を掛けたけれど、小さなソファの上に蹲った少しばかり奇抜な色合いの上着はぴくりとも動かない。袖から伸びて肘掛けに掛かった手はだらりと力なく弛緩していて、本当に「引っかかっている」だけのようだ。
 うつぶせ寝の癖は最近知ったけれど、これは悪癖の部類にはいる、と清澄は思う。顔が見えないと安心できないことだってある。特に今日のような日には。
 そろりともう少し扉を開いて、身を乗り出す。呼吸の音は――よく解らない。まさか死んでいるということはないと思うのだけれど。
 ねえ、ともう一度声を掛けるより先に、止めとけ、と後ろから宥める声がした。
「でも」
「ほっとけ。寝かせてやれよ」
 ぱき、と乾いた音を立ててペットボトルの蓋を開ける彼は、こちらに視線も寄越さない。それが少し気に障ったが、確かに起こすのもしのびないと思い直して、後ろ手にそっとドアを閉めた。
 向かいのソファ――病院の待合室にあるような、背もたれがついただけの硬いヤツだ――に座ると、舟形が無言でビニール袋を差し出す。買い物は布の袋で、と教わって育った清澄には、これは少し珍しくて、いたたまれないアイテムだった。勿体ないことをしている気分になる。今では随分慣れたのだけれど、それでも清澄の部屋には、この使用済みのビニール袋が小さく畳まれて保管してあるのだった。
「――サイキックって」
 取り出したペットボトルのジャスミンティーを一口飲んで、ぽつりと呟いた言葉に舟形が少しだけ視線を向けてくる。
「いつも、あんな感じなんですか?」
「――まあ、な。最初のうちはあんなんだ」
 工場も流通も麻痺した東京では、コンビニのおにぎりなんてすっかり見かけなくなってしまった。しけた海苔の巻かれた、手握り、と言えば聞こえは良いおにぎりの最後の一口を呑み込んで、彼は続ける。
「奴等、妙に勘がいいだろ。あれな、どうも俺達より“感じてるもの”が多いせいらしい」
「それって、“第六感”とかそういう?」
「さあな。とにかく見えるものが多いから、余計に疲れるんだとさ」
 言って、彼は時分のプラスチックパックの中に残った、最後のおにぎりに手を伸ばす。そうなんですか、と相づちだけ打って、清澄も袋の中のパンに手を伸ばす。見えるものが多い世界。彼にはこの部屋が――花に覆われた巨大都市はどんな風に見えるのか。そこまで考えてから、はたと気付いた。
「あの、もしかして他にもサイキックの人と仕事したこと、あるんですか」
 問うと、彼は少しだけ眼を細めて、ああ、と答えた。
「あいつも最初はへばってたな。今じゃ全然、扱く側らしいが」

拍手




 ななぞぞ発売前妄想第2弾。
 公式でガチ否定されない限り!うちのサイキックは!こんなんです!
 公式も超感覚の持ち主って言ってるし良いよね!

予定ネーム
清澄 カタナ子
燧 フード
船形 眼鏡
鎌ケ峰 紅姉
守屋 ろり子
白倉 サイキ姐
玄岳 ゴーグル
久能 番長
市房 デコ子
貫  サンボ

 というわけでカタナ子清澄さんと眼鏡髭舟形さん。潰れてる燧さんの三名ではじめようかと思っています。

 高INT(知識)、低VIT(防御力)の術師大好きです。あれ、ななぞぞのステータスはVITじゃなくDFEだったかな……まあいいや。
 
PR



2011/11/05
prev  home  next
ブログ内検索

忍者ブログ [PR]
  (design by 夜井)