祝福の声は茫洋と響き、何処か膜一枚隔てたように実感がない。嬉しげに微笑む人達へ向けた己の言葉さえ、よく覚えていない。それが何故なのか彼は知っていた。
けれど彼はそのどちらの人もを好きだったので。
だからそれは嫉妬や嘆きに変わることもなく、ただ、密やかに箱の中に仕舞い込まれた。
「お前、ホントは、」
あの人のことが好きだったんじゃないのか。
言葉は言う前に塞がれた。頭ごと抱え込まれて。
「いいんだよ」
だから耳元で囁いた彼の表情がどんなだったのかは判らない。
「……君まで箱を開くことはない」
けれど彼はそのどちらの人もを好きだったので。
だからそれは嫉妬や嘆きに変わることもなく、ただ、密やかに箱の中に仕舞い込まれた。
「お前、ホントは、」
あの人のことが好きだったんじゃないのか。
言葉は言う前に塞がれた。頭ごと抱え込まれて。
「いいんだよ」
だから耳元で囁いた彼の表情がどんなだったのかは判らない。
「……君まで箱を開くことはない」
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( 2009/11/10)
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