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2024/09/23

 ある島に漁師がいた。
 彼は島に住み着いた人魚と仲が良く、庭の林檎が実ると、それを沢山船に積んで海へ出た。人魚はそれを喜んで、島へ幸運をもたらした。
 人魚は魚の群れが近づけばそれを教え、嵐が来るなら風にのせて警告を歌った。海賊がいれば進路に嵐を起こし、人を喰う魚が迷い込めば沖へと追い払った。

 だが、ある時島に災いが降りかかった。彼の家族も病に倒れ、兄弟は皆船乗りになって、島を出て行った。遂に末っ子の彼も船乗りになって、島を出て行くことになった。

 島を出る前の日に、彼は林檎の枝を一枝持って、入り江の上の崖に立つと、人魚に向けてこう言った。
 この枝がすっかり成長すれば、また林檎が実って熟し、下の海へと落ちるだろう。
 そうして彼は島を出て行ったが、人魚は島を守り続けた。


 ある日、島に大きな嵐が訪れた。
 嵐は島にいた悪い獣を全部巻き上げてさらっていった。
 けれどその日を境に、人魚は島から消えてしまった。
 林檎の木がすっかり育って実った林檎が熟しても、人魚はついに林檎をとりに戻っては来なかった。



 長い長い年月が経ち、林檎の木は枯れてしまった。
 島も波に削られて、小さな砂粒が積み重なって深い海を埋め、島は陸地の一部となり、やがて、

 誰にもそこが島だったと解らなくなってしまった。

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 この話には元ネタがあって、「マン島妖精物語集」の中の「ゴブ・ナ・ウールのマーメイド」という話を使ってます。結構そのまんま。

 700万年って、長いですよねぇ……
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2008/09/07
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