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2024/09/23

 閃くように銀光が駆け抜けた。まるで重さのない本物の光のように、一閃二閃と赤い骨のような甲殻を持った生き物の四肢を切り落とした銀光は、三閃目で赤い甲殻の異形の目玉を切り裂くと、まるで魔法のように軽い金属音を立てて鞘の中へと納まる。
 対して、空を裂く重い音と共に振るわれるもう一方の剣は、まさに瀑布のようだった。群がる赤い異形に鋭い横の一薙ぎが繰り出される。胴を切り裂かれ、重い一撃に後退を余儀なくされた異形達の、その合間を縫って得物を振り上げてきた一体は、返す刀で目玉ごと両断してみせる。
 凄まじい技量を持った二人の剣士に押され、赤い異形達はその十重二十重の包囲網を一旦広げ、様子を窺う。
 20や30ではとても足りない異形達に包囲されながらも、剣士達に焦りの色は見えない。冷静そのものの態度で異形達を見据えながら、すぐにでも抜刀できるよう柄に手を寄せ、或いはどこからの攻撃にも応戦できるよう、両手で構えた剣を握り直し、前へと構える――そうしながら、二人は互いに包囲網の中央へ下がってゆく。呼応するように異形達も一歩二歩と包囲網を狭めていく。
 やがて包囲網の中央で、二人の剣士は背中合わせに異形の群れと対峙した。
 骨の軋むような不気味な異形の声を聴きながら、褐色の肌に白銀の髪を持つ男が口を開く。
 これからの作戦、背後の仲間への叱咤、今の状況への悪態――この状況で口にするのなら、おそらくはそんな内容だろう。だが、彼が口にした台詞はそのどれでもなかった。
「……ジーク、だったな。何故お前が此処にいる」
 真剣に異形達を見据えたまま発せられた台詞に、背後のくすんだ金髪に左目に傷のある男も、同じように異形の群れから視線を外さずに答える。
「それは俺の台詞だ。神力を失って使い物にならんと聴いていたが、一体どういう怪奇現象だ、ゼロニクス」
「怪奇現象というなら、お前が俺に背後を預けているということの方が、俺にとってはよほど怪奇現象なんだが」
 皮肉るでもなく揶揄うでもなく、ただ疑問として口に出された台詞に、ジークは内心歯ぎしりしたいほどの苛つきを感じながら、平静を装って応じる。
「……貴様が天界へ帰った経緯については聴いた。俺は目の前に敵がいれば、そいつを倒すことに集中する――それだけだ」
「なるほど、直線の人間は恐ろしい。敵になるものを消す、それ以上の理屈はない、か」
 納得したようにゼロニクスが呟く。
「苛烈だな」
「貴様のように、綺麗事で災厄をばらまく奴には理解できんだろう」
 棘のある台詞を吐いてやると、背後からは戦場に不似合いな苦笑の気配が返ってきた。
「否定はしない。だがお前も理解されているとは言いがたいと思うが?」
 気に障る言い方に、ジークは眉を寄せた。それをどう取ったのか、わっと波うつようにして赤い異形がそれぞれに得物を振り上げて襲いかかってくる。それをいなし、打ち倒し、あるいは先ほどのように斬り跳ばしては、すぐには動けなくなった目玉を潰してゆく。同じように王我の兵に応戦する背後のゼロニクスに向かって、ジークは声を投げた。
「どういう意味だ!」
「戦うことで何かを守ろうとするお前は、孤独だろう」
「っ!」
 ジークは渾身の力を込めて、辺りを薙ぎ払う一撃を放つ。魔力を込めた一撃から放たれる剣圧に、辺り一帯の異形は砕け、とりわけ近くにいた異形は目玉にまでダメージを受けて絶命する。
 掛かった負担に一つ息を吐いて、ジークはそのまま踵を返す。丁度ジークの攻撃から逃れた異形の残りを切り伏せたゼロニクスの、その首元を掴むと乱暴に引き寄せた。
「侮辱する気か……!」
 並の者なら威圧されて竦むほどの殺気を放つジークの視線を受けても、流石は神と言うべきか、ゼロニクスに動じた様子はない。
「気に障ったのなら詫びよう」
「撤回しろ!」
「何故だ?俺がなんと言ったところで、お前の心が孤高なことは変わらないだろう」
 本気で言っているらしいその様子に、ジークは苛つきと戸惑い、両方の感情を覚える。そのまま撤回を要求し続けることも出来たが、背後でカタカタと異形達が再生する音が聞こえ始めたため、仕方なく手を放し、異形へと向き直った。
「ジーク」
「黙れ。……貴様の声は集中を乱す」

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 ゼロニクス×ジークを目指…………したかったんですけど、まだハードルが高かったので、とりあえず並べるところから始めてみました。

 3弾で地上に戻ってきたゼロ様(not本気形態)と、ファイナル形態にはなったけど、ファイナルにはならなかったジークさん。
 マキシさん達は主力へ向かって進撃中。うっかりしんがり務めた二人で雑魚敵と交戦中。
 ゼロさんが居合いだったら素敵なので、居合いで。パワーよりはスピードと技量の人かなぁ……必殺技も龍王斬舞ですし。
 ジークさんは技量の伴ったパワー型かと。一撃一撃が重い必殺型。



 うちのゼロ様は 無頼=頼るものがない=孤独なもの って解釈で、支援がないものに対して手を差し延べる神様です。
 だから仲間はいるけど、心通わしてる人、というのが居ないジークさんはゼロさんの守備範囲です。まる。
 ……いや、この設定でもちょっと地味に矛盾が出てくるんですけど……その辺は気付かなかったふりで読むと幸せだと思います。
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2009/09/23
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