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2024/09/23

 橙色の大きな太陽が、ゆっくりと落ちてくる。
 赤く黄色く燃える夕日は、透明で強烈な橙色の光を放ちながら、溶けるように歪んで、地平の下へと沈んでゆく。


 足音が止まったのに気付いたのだろう、前を行く長身が振り返る。普段は白で統一された彼の姿も、今は橙色の光の逆光の中で、黒い影になっている。白銀の髪の端だけが、赤い光を透かしてまるで燃え立つようだった。
 突然立ち止まったマキシにも彼は不審そうな顔をするでもなく、少しだけ眼を細めて、彼は腕を上げた。
 剣を掴むのとも、襟を直すのとも違う軌道で上がった腕は、半ば程で止まる。そう、マキシの視線の少し下くらいの高さで。
 自分に向けられたてのひら、差し出された腕と、彼の表情の意味が解らなくて、マキシはそれを交互に見比べる。
 けれどどうしようとマキシが困って、長く伸びた影へと視線を落としてしまう前に、まるで躓いた先で待ちかまえて支えてくれるようなタイミングで、彼はおいで、と言ったのだ。
 相変わらず優しくもぶっきらぼうでもない声だったけれど、それでもなんだかそれがとても嬉しくて、マキシは土埃のついた手を拭って、その掌を握り返した。



(おいでって差し出された手を、あの頃は未だ、何の疑いもなく握り返せたんだ)

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2009/02/17
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