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2024/09/23

「ゼロはナルシストよ」

 割と……いや、かなり衝撃的だった発言に、マキシは思わず飲んでいたココアを噴きかけた。実際に噴かなかったのは偶然でも自制心の賜物でもなく、ただ単にタイミングの問題だ。もし一瞬早くカップに口を付けたマキシがココアを口に含んでいたら、イーリスから顰蹙を買う結果になっていただろう。
 再度の危険を恐れてそれとなくカップをテーブルに置き、マキシはイーリスに聞き返す。
「ゼロが……なんだって?」
 なんだか到底結びつかない単語を聴いた気がしたのだけれど。
 だから、とイーリスはらしくもなく、歯ぎしりしそうな歯の間から呻くように言葉を押し出した。
「ゼロは、ナルシストだって言ってるのよ」
 はあ、とマキシは相づちを打つ。明らかによく解っていない調子になってしまったが、実際イーリスが何を指してそう言っているのだか解らないのだから仕方がない。
 何かそんな素振りがあったろうか、と考えて、10秒経たずに放棄した。噴くほど結びつかなかった単語とゼロを、今更並べ直してみたところで、何かそれらしい繋がりが見つかるとも思えない。それならイーリスの解説(ただし、納得できる内容かは別として)を待った方が早い。
「マキシはそう思わないの?」
「いや、全然」
「……ふぅん」
 マキシはいつもゼロに甘いのね。イーリスは拗ねたように言うと、子供っぽく口先を尖らせて、自分の花模様のカップを吹いた。
「イーリスはどの辺が……その、」
「ナルシスト」
「……だと思うんだ?」
 連呼されるとなんだか居たたまれないなぁ、と思いながらマキシが問うと、イーリスはココアを吹くのを止めて、その大きな瞳で、うっすら膜の張った薄茶色の液体の表面を睨む。
「……頑張れば、何でも自分一人で出来ちゃう、理想通りを目指せるって信じてる所よ」

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 多分イーリスさんは、理想主義者、とかそういうことが言いたいんだと思います。
 マキシに甘くて(注:ゼロさん比)自分に厳しいゼロさんは、裏を返せば自分には厳しくしても大丈夫って思ってる節がある。綺麗事も理想も、やりようで実現できると思ってる。
 そうやって思い詰めて……うーん、詰める、という表現を使うほどゼロさんは切羽詰まる人でもない気がしますけど。
 とにかくそうやって思い詰めるゼロさんが、イーリスさんは心配で、ちっとも頼ってくれない彼が少し憎らしい。

 二人が飲んでるのはミルクココア。
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2009/09/24
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