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2024/09/23

 神羅で平安妖怪ものパラレル。
 平安、とか言っても「平安っぽい感じ」の場所が舞台なだけで、平安時代・或いは陰陽師やらが活躍した時代の文化的考証はまったくと言っていいほど行われておりません。


 パラレルとかそういうの駄目って方は続きを読んではいけません。


 シオンさんと師匠でベリやん関係の話を云々。

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「ときに、師匠」
 畏まった様子で正座しているのは、ついこの間――と言ってももう30年ばかり前のことになるが――拾った娘である。
 人の世界に必要以上に干渉する気はライセンにはない。だから口減らしのために子供が何人捨てられようと面倒を見てやるつもりなどさらさら無い。無かったのだが、この娘は裾を掴んで離さなかったのだから仕方ないではないか。
「聞いておられますか、師匠」
「……何か、シオン」
「あれは一体なんですか」
 弟子と呼んだ覚えもないのだが、師匠と呼ぶ娘の視線を辿って、ライセンは口を開いた。
「あれ、等と言うものではない。あれでも異国の術者の祀る神だ」
 己もあれ呼ばわりしていることを全くの棚に上げてライセンが言うが、シオンはそれに気付いても指摘はしない。神とは大抵そういうものだと、彼の眷属となってからの数十年で学んでいた。
「その異国の神が何故此処にいるのですか」
「元は異界より顕現し、そのまま異国より渡ってきたらしい。三日四日ばかり前から京に居ったので、一昨日一戦交えたのだが」
「……はあ」
「久方ぶりに力を振るった故に、どうにも勝手が利かずやりすぎてしまったようでな」
 流石に傷は全て癒えたようだが、ライセンは言って、おそらく聞こえているのだろう、注連縄のまかれた大樹の木陰でむっつりと押し黙っている黒い影を見遣る。
「異界に戻れぬらしいのだ」
「……それはまた随分と……」
 間抜けな話じゃないですか、という言葉を流石にシオンは飲み込んだ。
「だがその辺りをふらふらされても困るのでな。力の源泉を損なったのも私であるし、せめて責任は取ろうと、此処に置くことにしたのだ」
 確かに異国の神だというなら、弱っていてもそれなりの力はあろう。だとしたら確かに人の世に放っておく訳にもいかない。責任を取るために、神の力を封じている神域に置くというのも、まあ解る。解るが。
「……いいのですか」
 邪魔だ、と顔に書いてある娘にごく小さく笑って、ライセンは言う。
「何、百余年もかければ力も戻ろうよ」
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2009/03/29
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