白いノートに、赤い字がだんだん増えていく。一桁二桁三桁四桁……
「……今月も赤字」
余計な出費ばかりが嵩んでいるとしか思えない帳簿は、もう随分と黒字を計上した覚えがない。というか、一度もない。いや、やっている内容が内容だから、黒字になるはずもないのだけれど。
それにしたって、とアスエルは帳簿を眺める。右側に積んである領収書と借用書の山からはあえて目を逸らした。学究の徒としてはあるまじきであるが、金勘定からくらいは目を逸らしても良いだろう。
あ、今月は光熱費が妙に嵩んでる。濾紙の消費も激しい。もうこの時期サンプル分離は終わったはずじゃないですか。また蒸留水でコーヒー入れましたね。後器具拭くときは濾紙じゃなくて雑巾使ってくださいよ!
後で文句を言わなくてはと思いつつ、次の領収書を手に取る。帳簿に数字を書き込もうとしたときだ。
「アスエル君、ちょっと来てくれ!」
またか、と思いながら、廊下の奥から聞こえてきた声に、水槽の魚が驚かない程度の音量で応える。これも結構大事な研究材料だ。
「今手が離せないんですよー」
「手が離せないって、書類整理だろう!」
そんなことは良いから早く来なさい、手伝ってくれ!
貴方そんなこと言いますけどね、帳簿の計算は途中で止めると面倒なんですよ?
残りどれだけ費用が使えるか知っておかないとマズイでしょう。
というかここに積み上がっている領収書はほとんど貴方が作った物ですよね!
はあ、と溜息をついて立ち上がる。
「解りました、でもちょっと待ってください!」
書きかけの領収書をノートに挟む。
こき使われる雇われの身って、ちょっと辛い。
まだ領収書が二山。勘弁して欲しい。
「アスエル君!」
「はい!」
とりあえずは返事をして、椅子の背に掛けてあった白衣を引っかける。
ああ、なんだかまた領収書が増えそうな予感がするんですけど。
漂ってくる異臭的に、なんだか徹夜になりそうな予感がびしばしするんですけど。
それでも、どんなに嫌な予感がしたところでアスエルは行かなければならないのだ。
ああまったく。
あの人の才能に恋するなんて、自分も馬鹿なことをしたものだ。
「……今月も赤字」
余計な出費ばかりが嵩んでいるとしか思えない帳簿は、もう随分と黒字を計上した覚えがない。というか、一度もない。いや、やっている内容が内容だから、黒字になるはずもないのだけれど。
それにしたって、とアスエルは帳簿を眺める。右側に積んである領収書と借用書の山からはあえて目を逸らした。学究の徒としてはあるまじきであるが、金勘定からくらいは目を逸らしても良いだろう。
あ、今月は光熱費が妙に嵩んでる。濾紙の消費も激しい。もうこの時期サンプル分離は終わったはずじゃないですか。また蒸留水でコーヒー入れましたね。後器具拭くときは濾紙じゃなくて雑巾使ってくださいよ!
後で文句を言わなくてはと思いつつ、次の領収書を手に取る。帳簿に数字を書き込もうとしたときだ。
「アスエル君、ちょっと来てくれ!」
またか、と思いながら、廊下の奥から聞こえてきた声に、水槽の魚が驚かない程度の音量で応える。これも結構大事な研究材料だ。
「今手が離せないんですよー」
「手が離せないって、書類整理だろう!」
そんなことは良いから早く来なさい、手伝ってくれ!
貴方そんなこと言いますけどね、帳簿の計算は途中で止めると面倒なんですよ?
残りどれだけ費用が使えるか知っておかないとマズイでしょう。
というかここに積み上がっている領収書はほとんど貴方が作った物ですよね!
はあ、と溜息をついて立ち上がる。
「解りました、でもちょっと待ってください!」
書きかけの領収書をノートに挟む。
こき使われる雇われの身って、ちょっと辛い。
まだ領収書が二山。勘弁して欲しい。
「アスエル君!」
「はい!」
とりあえずは返事をして、椅子の背に掛けてあった白衣を引っかける。
ああ、なんだかまた領収書が増えそうな予感がするんですけど。
漂ってくる異臭的に、なんだか徹夜になりそうな予感がびしばしするんですけど。
それでも、どんなに嫌な予感がしたところでアスエルは行かなければならないのだ。
ああまったく。
あの人の才能に恋するなんて、自分も馬鹿なことをしたものだ。
やってることが地上界の研究なら、おそらく実験室はバイオロジー・ラボかフィジックス・ラボってことになるんでしょうけどね…………
化学だったら生化学とかその辺だと思います。
ノーマルカードで特に主要キャラとの絡みもないのですが、持っているのがガラス実験器具だったというだけで私の中に異様に強く残っているキャラです、ラティエルさん。
……工学系は兎も角として、理学系マッドはもうでてこないのかなー。
化学だったら生化学とかその辺だと思います。
ノーマルカードで特に主要キャラとの絡みもないのですが、持っているのがガラス実験器具だったというだけで私の中に異様に強く残っているキャラです、ラティエルさん。
……工学系は兎も角として、理学系マッドはもうでてこないのかなー。
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( 2008/12/21)
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