瓦礫に埋もれたくらいでは死なない私達の研究室は、地盤の安定した地下にある。半分以上を占拠したコードと基盤、工具やデータディスク。
無機に覆われた部屋に、けれど見るからに異質なものが一つあった。
もう随分昔の部下のものだ。
箱に入った等身大の人形。ベルトで所々を固定されて収められたそれを、出してみる気はさらさら無かった。
これを扱うのは私ではない、という気がしていた。動かした経験はなかった。また使ってみたところで、記憶にある彼ほど鮮やかに扱えるとは思えないし、そうなる気もない。
この人形を操るのはたった一人で良い。
この体を構成する60兆の細胞全てが無機に置き換わっても、60兆の細胞を統べる、たった一つの私の意志は、決して彼を忘れないだろうと、ピグマリオンは思っている。
無機に覆われた部屋に、けれど見るからに異質なものが一つあった。
もう随分昔の部下のものだ。
箱に入った等身大の人形。ベルトで所々を固定されて収められたそれを、出してみる気はさらさら無かった。
これを扱うのは私ではない、という気がしていた。動かした経験はなかった。また使ってみたところで、記憶にある彼ほど鮮やかに扱えるとは思えないし、そうなる気もない。
この人形を操るのはたった一人で良い。
この体を構成する60兆の細胞全てが無機に置き換わっても、60兆の細胞を統べる、たった一つの私の意志は、決して彼を忘れないだろうと、ピグマリオンは思っている。
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( 2008/12/18)
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