なにか奇妙な違和感を感じて振り返ったそこには、剣を抜いて立つ王の姿。
息を飲んだ。
血の色でも銅の色でもない、奇妙なほど赫い刃と、燃え立つような波打つ刀身――「炎帝の剣」。それは代々飛天王のみに受け継がれるそれは王位の証でもあり、故に王はその地位と正当性の証明のために、公式の場では必ず佩刀することになっている。
しかし――否、だからこそ炎帝の剣は軽々しく抜いてはならない。それを持つ者は飛天王とその継承者だけ。それをぬき、特徴的な刀身を曝すということは己が王であると宣言するに等しい。戦場で抜けば狙われる。
いくら王の血筋には強大な魔力が宿っていると言っても、所詮人の身に授かることが出来る力は限られている。攻撃が集中すれば全てを防ぎきれるとは限らない。だから、炎帝の剣は戦場では使わない――使ってはならない。今のような、敵味方入り乱れての乱戦で抜くのは自殺行為にさえなる。
―――何を考えている。
劣勢に業を煮やしたか。あるいは敵勢に恐れでもなしたか。
いずれにしろ危険すぎる。
――止めなければ。
声を荒げようとした瞬間、剣戟の音でも聞いたのか、はたまた全くの偶然だったのか、真紅の翼を負った者は振り返る。
黄金色の髪が揺れて、翠の瞳がこちらを捉えた。こちらが何かを言うよりも早く、否、言葉を紡ぐのを制すように、
確かに、ふと、その人は笑った。
その奇妙に余裕を含んだ表情に、言葉を奪われる。
戸惑った一瞬の間に視線は逸れて、王はあっさりと前へと向き直る。
―――何をする気なのか。
問うまでも、待つまでもなかった。
掲げられた赤い刀身は、目の前で、文字通り燃え上がった。
次いで突風。
孤剣を掲げて立つ王を中心として渦巻いた風は、服の裾と土煙を巻き上げて駆けてゆく。魔力の解放によって起こる風だったが、今回は異常なほど強い。
その間にも剣に宿った炎は光を増してゆく。――否、輝いているのは炎ではない。剣自身が、さながら溶岩のように発光しているのだ。
剣を媒体とした魔力の発現。
今更ながら感じ始めた、場に満ちる強い「力」。
王が高く剣を掲げる。さながら天を突き刺すように。
そして、声。
「コロナ・ストーム!」
炎を司る王の声に応えて、100万度の光と大気が、衝撃波となって荒れ狂うっ!
息を飲んだ。
血の色でも銅の色でもない、奇妙なほど赫い刃と、燃え立つような波打つ刀身――「炎帝の剣」。それは代々飛天王のみに受け継がれるそれは王位の証でもあり、故に王はその地位と正当性の証明のために、公式の場では必ず佩刀することになっている。
しかし――否、だからこそ炎帝の剣は軽々しく抜いてはならない。それを持つ者は飛天王とその継承者だけ。それをぬき、特徴的な刀身を曝すということは己が王であると宣言するに等しい。戦場で抜けば狙われる。
いくら王の血筋には強大な魔力が宿っていると言っても、所詮人の身に授かることが出来る力は限られている。攻撃が集中すれば全てを防ぎきれるとは限らない。だから、炎帝の剣は戦場では使わない――使ってはならない。今のような、敵味方入り乱れての乱戦で抜くのは自殺行為にさえなる。
―――何を考えている。
劣勢に業を煮やしたか。あるいは敵勢に恐れでもなしたか。
いずれにしろ危険すぎる。
――止めなければ。
声を荒げようとした瞬間、剣戟の音でも聞いたのか、はたまた全くの偶然だったのか、真紅の翼を負った者は振り返る。
黄金色の髪が揺れて、翠の瞳がこちらを捉えた。こちらが何かを言うよりも早く、否、言葉を紡ぐのを制すように、
確かに、ふと、その人は笑った。
その奇妙に余裕を含んだ表情に、言葉を奪われる。
戸惑った一瞬の間に視線は逸れて、王はあっさりと前へと向き直る。
―――何をする気なのか。
問うまでも、待つまでもなかった。
掲げられた赤い刀身は、目の前で、文字通り燃え上がった。
次いで突風。
孤剣を掲げて立つ王を中心として渦巻いた風は、服の裾と土煙を巻き上げて駆けてゆく。魔力の解放によって起こる風だったが、今回は異常なほど強い。
その間にも剣に宿った炎は光を増してゆく。――否、輝いているのは炎ではない。剣自身が、さながら溶岩のように発光しているのだ。
剣を媒体とした魔力の発現。
今更ながら感じ始めた、場に満ちる強い「力」。
王が高く剣を掲げる。さながら天を突き刺すように。
そして、声。
「コロナ・ストーム!」
炎を司る王の声に応えて、100万度の光と大気が、衝撃波となって荒れ狂うっ!
コロナストーム。技名打つのが一番恥ずかしかったです。
この技にはコロナという非常に分かりやすい単語が入っていたので、一応それに倣って100万度とつけてみたのですが、実際のコロナはガスの密度が低すぎて熱が伝わらないらしいですね。…って、どの程度伝わりにくいのかは解らなかったのですけれど。
とりあえず私の「コロナストーム」のイメージは、中心部に高熱を召喚し、膨張した空気の衝撃波と熱気によって敵を倒す。光のおかげで一時的目眩ましも可能。……な、感じなんですが。今回は。
でも冷静に考えて四方にダメージを与える技というのはなかなか使いどころが難しいので、結界的なものとの併用が必要かも知れません。……というか、結界的な、遮る障壁のようなものが使えるのなら、上手く壁を作って一方への衝撃を強くすることも、一方を衝撃から守ることも出来るわけで、併用が必要と言うよりは使えないとお話しにならない、かな。
この技にはコロナという非常に分かりやすい単語が入っていたので、一応それに倣って100万度とつけてみたのですが、実際のコロナはガスの密度が低すぎて熱が伝わらないらしいですね。…って、どの程度伝わりにくいのかは解らなかったのですけれど。
とりあえず私の「コロナストーム」のイメージは、中心部に高熱を召喚し、膨張した空気の衝撃波と熱気によって敵を倒す。光のおかげで一時的目眩ましも可能。……な、感じなんですが。今回は。
でも冷静に考えて四方にダメージを与える技というのはなかなか使いどころが難しいので、結界的なものとの併用が必要かも知れません。……というか、結界的な、遮る障壁のようなものが使えるのなら、上手く壁を作って一方への衝撃を強くすることも、一方を衝撃から守ることも出来るわけで、併用が必要と言うよりは使えないとお話しにならない、かな。
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( 2006/05/21)
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