忍者ブログ
小ネタ投下場所  if内容もあります。
 [PR]
 

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。




2024/09/23

 光。
 窓の外を小さな眷属達の影がよぎる。
 そんな時刻かと思いながら身を起こそうとして、目の前にある物――今の今まで縋るようにして抱きついていた男の腕に気付いた。
 ああそうか、と納得し、寝直そうとして視線を落としたところで違和感にふと眉を顰める。
 調度が違うのだ。
 どう見ても居城のそれと、目の前の腕。
 悔しいことに一瞬理解が及ばず、慌てて起こそうとしたその体を鈍痛が襲った。
 小さく呻いてついた腕を折る。折ったそのまま突っ伏すと、その布に埋めた顔を覗き込まれた。
「……大丈夫か?ちょっと無理させたな」
「…何が『ちょっと』だ」
 言う間に背に手を回されて引き寄せられる。緩やかに頭を抱かれて、メルキオールは大人しく褐色の胸に顔を埋めて鼓動を聴き―――唐突に顔を上げ、自らを見下ろすと、耳の辺りを擽っていた髭を引っ張る。
「コラ、何すんだ」
「何じゃないだろう。こんなに痕をつけてしまって、どうしてくれる」
 本気なのか演技なのか、不機嫌そうな色を表情に滲ませた恋人に肩をすくめて、バルバトスは応える。
「どうせ見えねぇだろ」
「私からでは隠せるところしか確認できない」
「全部隠れるから安心しろ。それに見えたところで何を悪いことがあるんだ」
 言い草に呆れて、メルキオールは処置無しとばかりに天井を仰ぐ。けれど離れることはせずに、ことりと広い胸に頭を預けた。
「……何故お前みたいな奴に惚れているんだろうか」
「お前が悪趣味だからだろう」
「お前も人のことは言えないだろう?」
「違いねぇ」

拍手




 あの、あれですよ。飛天のお城は忍んでくるには都合が悪い作りなので、たいがい出掛けるのはメル様なのですよ。だからいちゃつくのも大抵獣牙領。いちゃつく部屋も獣牙領。
 だから眼が覚めてバル様が居て、しかも居城だったりしたのであれー、と思ったのです。
PR



2006/08/04
prev  home  next
ブログ内検索

忍者ブログ [PR]
  (design by 夜井)