「何故鳥に鎖をつけないのか、考えたことはありますか?」
視線はこちらへ向けられたまま、後ろ手で錠を下ろす音。重く響いた金属音に、知らずびくりと肩が跳ねた。それに小さく笑って、ナルサスは扉から離れる。
靴音は嘲笑うように、あるいは脅かすように。
「鳥のように華奢な生き物には、鉄の鎖は重すぎる。それにもし絡みでもすれば骨を痛めてしまいます。何より鳥は翼を持つもの、愛でるにしても矢張り羽搏や囀りを聴きたいものです。だから鳥には鎖など無粋な物は付けず、籠に捕らえるわけですが―――」
「っ!」
伸びてきた手に俯いていた顔を無理矢理上げさせられ、正面から目が合う。幸いにも手はすぐに離されたが、だからといって視線が外せるわけもない。
「……愛でられていることを気にも留めない鳥は、籠が少しでも開いているとそこから逃げてしまいます。籠の中で暮らす鳥には、外の世界は危険だというのに。……そして、戻ってきた鳥を籠へ戻せば、また隙を見て飛んで行ってしまう。不埒な獣に喰われでもしては困るのですが、あなたは何度言っても聞き入れて下さらない。――それとも」
ぎ、と腰掛けた寝台の軋む音。のしかかる様にして覗き込まれて、メルキオールは小さく息を呑む。
「…こうして捕らえれば、少しは考えていただけるのでしょうか?」
目と鼻の先、人間離れして整った顔が嫣然と微笑む。
「さあ、出奔の弁明をしていただきましょうか」
視線はこちらへ向けられたまま、後ろ手で錠を下ろす音。重く響いた金属音に、知らずびくりと肩が跳ねた。それに小さく笑って、ナルサスは扉から離れる。
靴音は嘲笑うように、あるいは脅かすように。
「鳥のように華奢な生き物には、鉄の鎖は重すぎる。それにもし絡みでもすれば骨を痛めてしまいます。何より鳥は翼を持つもの、愛でるにしても矢張り羽搏や囀りを聴きたいものです。だから鳥には鎖など無粋な物は付けず、籠に捕らえるわけですが―――」
「っ!」
伸びてきた手に俯いていた顔を無理矢理上げさせられ、正面から目が合う。幸いにも手はすぐに離されたが、だからといって視線が外せるわけもない。
「……愛でられていることを気にも留めない鳥は、籠が少しでも開いているとそこから逃げてしまいます。籠の中で暮らす鳥には、外の世界は危険だというのに。……そして、戻ってきた鳥を籠へ戻せば、また隙を見て飛んで行ってしまう。不埒な獣に喰われでもしては困るのですが、あなたは何度言っても聞き入れて下さらない。――それとも」
ぎ、と腰掛けた寝台の軋む音。のしかかる様にして覗き込まれて、メルキオールは小さく息を呑む。
「…こうして捕らえれば、少しは考えていただけるのでしょうか?」
目と鼻の先、人間離れして整った顔が嫣然と微笑む。
「さあ、出奔の弁明をしていただきましょうか」
ナルメル@メル様現役時代
先日おとなしいナルサスを書いたので、どちらかというと凶暴なナルサスを書いてみました。
……あの、不思議でしょうがないのですが、黒ナルって、書いていると落ち着く気がします。どうも私はナルサスは白よりも黒だと思っているらしいです。
この後メル様はナルサスにこってり絞られればいい。いろんな意味で。
先日おとなしいナルサスを書いたので、どちらかというと凶暴なナルサスを書いてみました。
……あの、不思議でしょうがないのですが、黒ナルって、書いていると落ち着く気がします。どうも私はナルサスは白よりも黒だと思っているらしいです。
この後メル様はナルサスにこってり絞られればいい。いろんな意味で。
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( 2006/04/12)
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