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2024/09/23

 ひたり、と温い感触が閉じた瞼の上に触れて、驚くな、という方が無理だっただろう。
 慌てて開いた瞳が映したのは当然ながら病室の真新しく白い天井ではなく、光を遮った狭い闇だ。どういう風の吹き回しだと挙げかけた声は、疲れたよね、という感情の読めない囁きに遮られた。
「休んだ方がいいよ。……船さん来た?心配してたよ、多分」
 瞼ごと視界を覆った掌の温度は、燧の体温よりも低く、室温よりは高い。同じように熱くも冷たくもない声はこの一月で随分聞き慣れたはずなのに、どんな感情が宿っているのか、燧には量れなかった。疎んじていたはずの視界に己がどれだけ頼っていたか思い知らされて、乾いた笑いがこみ上げてくるのは、口の端をほんの少し上げただけでやり過ごした。
「どうかした?」
「お前、こういうのは彼氏とかにしろよ」
「……友達にだってするよ」
 声は平然と変わらず、それでも少しの効果はあったらしく、僅かに身じろぐ気配がする。それでも置かれた手は相変わらずで、燧は密かに息を吐いた。
「……別に、気ィ遣わなくていい」
「そうだね。落ち着かないよね。アイマスクか何か持ってこようか。……そうしたら、俯せで寝なくても済む?」

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 燧君と清澄さん。
 C2のボス戦直後に燧が倒れた後の辺り。描写に入らなかったけど、燧は医務室のベッドで寝てます。珍しく仰向けだった。(※昏倒してたのでそうやって寝かされた)

 
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2012/02/04
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