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2024/09/23

 ぽろりぽろりと欠け落ちるそれは、多分本部のナビにだって見えている。
 ただ奴等が見るのはセンサを通して見たレーダー上に散らばる光点で、俺が見ているのは生の場面だ。
 焦げて炭化した皮膚の下から覗く生々しい赤。沸騰した血から立ち上る湯気。水晶体が白濁した目玉。こんな物を見ても竦まないで立ち向かえるのは、奴等が気違いなのか、それともはなから見えていないのか。
 俺だって顔を覆って足下しか見ないで突っ立っていられるのならそうしていた。だけどどうしようもないだろう、デカブツの牙に頭ごと食い千切られないためには、どうしたってこの眼は要る。
 眼をこらす。気を抜けばこの視界のあちこちにある、黒く炭化して縮んだそれになるだけだ。敵を睨む。飛竜の薄い翅が高速で羽ばたく。ぬるりと光を跳ね返す鱗が波うつのは凍れる吐息が吐き出される前兆だ。
 ひゅうと吐き出されたブレスの中で凍えた水蒸気が細かな白い氷に変わる。白く濁った吐息の向こうで煌めいたのは、溶け落ちた盾を貫通した光。その陰に残った「部品」が断末魔のように痙攣した。


「燧!」
 飛んだ声に打たれたように、硬直していた肩がぴくりと震えた。馬鹿野郎言われてから動いて間に合うなら誰も死にゃしねえ。
 半ばタックルのようにしてひょろい体躯を突き飛ばして、自分もブレスの範囲外に逃れる。コート越しでも背筋の冷える空気が伝わってきたが、致命的なダメージじゃない。ちらりと視線を遣った清澄も無事だ、あいつは目の前の敵を見てる、大丈夫だ。問題は。
「馬鹿タレが」
 よろりと起き上がった青緑のフードに語りかける。
「うっせ……むしろアンタに殺されるわオッサン。落とす気か」
「これくらいで落ちるなァグズだけだ。いいか、燧、」
 切って捨てた言葉に反発して睨んできた眼を、肩越しに見返す。眼が合う。まったく素直な反応だよ、騙されんなよお前。
「余所見すんな。余計なことは閉め出せ、今は」
 飛竜が体をくねらせた。咄嗟に反応して刀で牙を逸らした清澄がよろめき、船形はガラ空きになった横っ腹に銃弾を撃ち込む。飛竜の断末魔。
 こうやって手の届く範囲にだけ手を出しゃいいんだ、余計なことまで見てるな。こいつにはそれが難しいのは解ってるが、
「目の前にだけ集中しろ。俺が援護する」

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 船形さんと燧。
 銃トリスタのブッシュトラップマジ強いです……

 私はもしも何か商業誌か余所様のお宅でこんな場面を眼にしたら、「あっフラグ立った!」って思うんですけど、この2人にフラグ立つ予定は特にない。立てても良いけど。でも船形、これくらいのことは玄岳さんとも白倉さんとも清澄ともやってるよね。
 もしかしたら他のムラクモ古参組の人ともやってるかもしれん……援護されたりしたりの連携戦はええもんや……

 しかし船形、杉田ボイスをつけたおかげで、当初よりもちょっと泥臭い喋りもするようになりましたが、これはこれで結果的に楽しいことになったので良かったかな……慣れるまで結構時間かかったけどね、杉田ボイス。
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2011/12/04
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