ルシェは墓を作らない。散った命は土に還る。だから標をたてる必要など無い。それでも同じ人類たるニンゲンとともに暮らすからには彼らの文化を知らないままでいられるはずが無く、石室に小さな箱を納めるのを見る度に憐れみと羨望を等しく感じた。


　多くの人々が命を捧げた場所は、なるほど確かに墓標のようだった。墓穴のように窓の一つもなく、静謐で、穏やかな闇と、冷えた空気がある。
手を伸ばしてみれば、存外近くに乾いた石壁の感触があった。どこから切り出してきたものか、爪を立てても傷一つつかないだろう硬い岩。
「最期、どうだったんだろうな」
「さあ……」
　彼等は一人も還らなかった。だから彼らがどんな思いを抱いてこの入り口をくぐったのか、あの光が放たれた瞬間この中で何が起きたかは、知る由もない。
　せめて、彼らの魂が、一瞬で光に変わったことを祈る。

　タイトルは両方「うろ」と読む。ついっただとこう、掛詞にしてたんですけど。

　千人砲に参加した人達の体はどうなっちゃったのかな。
　ヒュプノスは精神体だった。ならば、物質である体を扱う技術が果たして存在していたかどうか。
　もし千人砲が、ヒトの精神だけを使うものだとしたら、千人分（ほんとに千人だったかはわかりませんが、一応そう言っておく）の体だけが残されただろう。
　千人分の体を相応に始末するのには、それなりに労力が必要だし、埋葬には時間がかかっただろう。否、すぐに埋葬できたかどうかも判らない。何しろネバンの人口は減ってしまったのだし。

　ゲーム中では一度も建造物の内部が映されないんですよね。

　もちろん体も何もかもエネルギーに変わって、あの中は髪の一筋すら残らない虚であったというのでもいいのですけど。