「あそこが今夜の獲物がある場所だよ」
闇に溶けるボディスーツに身を包んだクイーンは、眼下を指して言った。スーツこそ体のラインにぴっちりとあった物を着ているが、長い銀髪は流したままだ。開いたハッチの隙間から流れ込んでくる冷たい夜気は、容赦なくクイーンの銀髪を吹き散らしてゆく。
「見えるかい?」
限りなく白に近いグレーの瞳をこちらに向けて、クイーンは問う。ジョーカーは無言で頷いた。
二月ぶりの獲物は、業火渦巻く館から救い出されたという大粒のダイヤ。逸話の真偽はともかくとして、久し振りの怪盗らしい獲物だ。ジョーカーの調べでは、予告状の効果で警備は常の数倍は下らない。警戒するべきレベルの人数。
思わず手に力が入ったところで、くすりと笑う気配がする。
「怖いかい?」
戯けるように言われた言葉に、いいえとジョーカーは首を振った。幼い頃から格闘の訓練を受けていた彼にとって、いくら人数が多いとはいえ警官の数人ごときは敵ではない。
「じゃあ、緊張している?」
それにもいいえ、と首を振りかけて、ジョーカーは考える。
「……少しだけ」
仕方がないね、言ってクイーンは笑う。
だって今日が怪盗クイーンのパートナージョーカー君の初仕事だものね。
自動航行になっているトルバドゥールは、徐々に館の真上へと近づいてゆく。街のネオンが微かに届いて、二人の姿を下からぼんやりと照らし上げる。
「行けるかい?」
風に散らされないように少し強めた声でクイーンが言って、ジョーカーはそれにもちろんです、とできるだけ落ち着いて聞こえるように答えた。
その強がりを見抜いているのか居ないのか、おそらく見抜いているのだろうけれど、頼もしいね、とクイーンは微笑む。
「じゃあ、お先に」
その微笑みのまま、ワイヤーを掴んだクイーンはひらりとハッチの隙間から空へと身を躍らせる。自由落下の速度で目標へと向かうその影を、ジョーカーも少し遅れて追った。
闇に溶けるボディスーツに身を包んだクイーンは、眼下を指して言った。スーツこそ体のラインにぴっちりとあった物を着ているが、長い銀髪は流したままだ。開いたハッチの隙間から流れ込んでくる冷たい夜気は、容赦なくクイーンの銀髪を吹き散らしてゆく。
「見えるかい?」
限りなく白に近いグレーの瞳をこちらに向けて、クイーンは問う。ジョーカーは無言で頷いた。
二月ぶりの獲物は、業火渦巻く館から救い出されたという大粒のダイヤ。逸話の真偽はともかくとして、久し振りの怪盗らしい獲物だ。ジョーカーの調べでは、予告状の効果で警備は常の数倍は下らない。警戒するべきレベルの人数。
思わず手に力が入ったところで、くすりと笑う気配がする。
「怖いかい?」
戯けるように言われた言葉に、いいえとジョーカーは首を振った。幼い頃から格闘の訓練を受けていた彼にとって、いくら人数が多いとはいえ警官の数人ごときは敵ではない。
「じゃあ、緊張している?」
それにもいいえ、と首を振りかけて、ジョーカーは考える。
「……少しだけ」
仕方がないね、言ってクイーンは笑う。
だって今日が怪盗クイーンのパートナージョーカー君の初仕事だものね。
自動航行になっているトルバドゥールは、徐々に館の真上へと近づいてゆく。街のネオンが微かに届いて、二人の姿を下からぼんやりと照らし上げる。
「行けるかい?」
風に散らされないように少し強めた声でクイーンが言って、ジョーカーはそれにもちろんです、とできるだけ落ち着いて聞こえるように答えた。
その強がりを見抜いているのか居ないのか、おそらく見抜いているのだろうけれど、頼もしいね、とクイーンは微笑む。
「じゃあ、お先に」
その微笑みのまま、ワイヤーを掴んだクイーンはひらりとハッチの隙間から空へと身を躍らせる。自由落下の速度で目標へと向かうその影を、ジョーカーも少し遅れて追った。
モース硬度が最も高いと言われているダイヤモンドですが、炭素の結晶なので燃えてしまうというのは有名な雑学ですね。
まあハーキマーダイヤモンドとかだったら燃えないかも知れませんが、あれは名前にダイヤとついてもダイヤじゃないしなぁ。
それにしてもうちのジョーカー君は大人しいなぁと思います。
まあハーキマーダイヤモンドとかだったら燃えないかも知れませんが、あれは名前にダイヤとついてもダイヤじゃないしなぁ。
それにしてもうちのジョーカー君は大人しいなぁと思います。
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( 2008/08/09)
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