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2024/09/23

 闇というのはどうにもこの地に生きとし生けるものとは相容れぬようで、故に闇ばかりを包容した夜は、生者の恐れと不安を招く。
 その闇の中を滑るように裂いた影は、さながら舞うように一つ旋回する。羽ばたきもなく、夜の獣達よりも静かに崖上へと降り立った彼は、夜空を振り仰いで歌うように呟いた。

「ああ、良い夜だ」
 空を埋めるのは満天の星、月のない夜には星明かりが目立つ。しかし空に散ったその光は月光に比べればいかにも儚く、闇を駆逐するほどには至らない。

 昼生きる生き物は夜目が利かない、それがこの地上での理、と言うものらしいが、異界から来た彼等のような生き物には、どうやら当てはまらないらしい。遙か昔にこの地の人々が定めたという星座を眼で追った。
 北の空に動かない星が一つ。これより北の地では、特別な意味を伴って呼ばれるらしいその星を指し示すのは、罰を受ける女の星だ。高慢さ故に逆さに吊され空にあげられたというその女にまつわる逸話を思い出して、彼はうっすらと微笑む。
 そんな女の名を勝手に付けられて、付けられた方からすればさぞ理不尽なことだろう。星はあんなに美しいというのに。

「……それに比べて」
 呟いて、彼は崖下を見遣った。
 匪賊達の焚いた篝火が、崖上に潜む彼の整った貌を照らしあげている。
 こんなに暗い夜では、派手な明かりがあった方が周りが見づらくなるのだが、酒と略奪の余韻に酔っている彼等は、どうやら気が回らないらしい。
 地上には馬鹿な子ほど可愛い、とかいう言葉もあるらしいが、古くから残る寺院を打ち壊し、彫刻も何もかも破壊していった彼等は、ホルストにとっては馬鹿なだけで欠片の愛おしさも感じない。

「まったく、美しくないね」

 何処か酷薄な響きが含有された言葉と共に、今まで潜めていた翼に宿る焔を解放する。熱された金属のように輝きだした翼、やっと崖上に潜む異形に気付いた匪賊が慌てた様な声を上げたが、もう遅い。

 石塊に還った乙女を偲び、彼は大きく翼を広げた。

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 確かありましたよね、ナイトホークっていう戦闘機。

  ミロクさんの呟きにぶっとんだので、他の羅震将にも似たような呟きが来るのでは!と早まって書いてみたホルストさん。
 美術品が破壊されたので仕返しに来ました。
 ホルストさんの名前は「ホルス」からきているのかなぁ。

 彼等にはちゃんと使命があるはずなんだけれど、それでも何処か無邪気なイメージがあります。

 上記で言っている星座はカシオペヤ座です。理科で習う、W型の星座。
 アンドロメダやらクジラの神話、と言った方が解りやすいのかな。
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2008/08/07
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