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2024/09/23

 将軍!声にカレンは振り返る。
「砲撃の許可を!」
 言われて、カレンは空を見上げる。雲間の灯りに照らされて灰色に見える双影は、めまぐるしく位置を入れ替えながら剣撃を交えている。

 ――あたってしまう。

 歯がゆい。ただ手が届かないというだけで、こんなに悔しい思いをしなければならないなんて。
「……砲撃隊、前へ。目標、ゴーレム!周辺の敵を一掃します」
「将軍!」
 部下の一人が険しい声をあげる。その意味にカレンは気付いている。
 騎士団に女は珍しい。ましてや将軍クラスともなれば尚更だ。――カレンに向けられる視線の中には、好奇に混じって疑いと蔑みが含まれている。

 (お前に将軍たる実力があるのか。女の身で、何を偉そうに)

 ――あの方にはそれがなかった。

「駄目です」
 きっぱりとカレンは言い切る。
「しかし」
「味方への攻撃は認められません」
 ざわ、と周囲がざわめく。
 では、と誰かが言った。
「味方とは、あれは一体誰なのです!?」
「あなた方も気付いているはず」
 カレンは振り返った。上空ではまだ激しい戦いが続いている。内心の焦りと悔しさを押し隠して、困惑、驚き、様々な表情を浮かべている仲間達を見渡した。
「敵将と戦っておられるのは、サイアス様です」

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2008/01/10
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