将軍!声にカレンは振り返る。
「砲撃の許可を!」
言われて、カレンは空を見上げる。雲間の灯りに照らされて灰色に見える双影は、めまぐるしく位置を入れ替えながら剣撃を交えている。
――あたってしまう。
歯がゆい。ただ手が届かないというだけで、こんなに悔しい思いをしなければならないなんて。
「……砲撃隊、前へ。目標、ゴーレム!周辺の敵を一掃します」
「将軍!」
部下の一人が険しい声をあげる。その意味にカレンは気付いている。
騎士団に女は珍しい。ましてや将軍クラスともなれば尚更だ。――カレンに向けられる視線の中には、好奇に混じって疑いと蔑みが含まれている。
(お前に将軍たる実力があるのか。女の身で、何を偉そうに)
――あの方にはそれがなかった。
「駄目です」
きっぱりとカレンは言い切る。
「しかし」
「味方への攻撃は認められません」
ざわ、と周囲がざわめく。
では、と誰かが言った。
「味方とは、あれは一体誰なのです!?」
「あなた方も気付いているはず」
カレンは振り返った。上空ではまだ激しい戦いが続いている。内心の焦りと悔しさを押し隠して、困惑、驚き、様々な表情を浮かべている仲間達を見渡した。
「敵将と戦っておられるのは、サイアス様です」
「砲撃の許可を!」
言われて、カレンは空を見上げる。雲間の灯りに照らされて灰色に見える双影は、めまぐるしく位置を入れ替えながら剣撃を交えている。
――あたってしまう。
歯がゆい。ただ手が届かないというだけで、こんなに悔しい思いをしなければならないなんて。
「……砲撃隊、前へ。目標、ゴーレム!周辺の敵を一掃します」
「将軍!」
部下の一人が険しい声をあげる。その意味にカレンは気付いている。
騎士団に女は珍しい。ましてや将軍クラスともなれば尚更だ。――カレンに向けられる視線の中には、好奇に混じって疑いと蔑みが含まれている。
(お前に将軍たる実力があるのか。女の身で、何を偉そうに)
――あの方にはそれがなかった。
「駄目です」
きっぱりとカレンは言い切る。
「しかし」
「味方への攻撃は認められません」
ざわ、と周囲がざわめく。
では、と誰かが言った。
「味方とは、あれは一体誰なのです!?」
「あなた方も気付いているはず」
カレンは振り返った。上空ではまだ激しい戦いが続いている。内心の焦りと悔しさを押し隠して、困惑、驚き、様々な表情を浮かべている仲間達を見渡した。
「敵将と戦っておられるのは、サイアス様です」
PR
( 2008/01/10)
ブログ内検索