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2024/09/23

 美しい物を見たいのなら一度だけ見よ、真なる物を見たいのなら二度確かめろ

 教えて貰ったばかりの句と力の使い方とを駆使して、背に負う四枚の翼のうち半分を消すことに成功した、その達成感が余韻に変わる前に、何かの詩句の一部なのだろうか、歌うような調子で呟かれた言葉にサイアスは振り返った。
「なんですか、それ」
 問い返したサイアスに、メルキオールは鷹揚そうな笑みを浮かべる。
「先人からの忠告だよ。君が手にしたそれがどういう物か、よく考えて使いなさい、ということだ」
 どういうものか考えろ。言われた言葉を反芻して、サイアスは心中で首を傾げる。
「……それって、これはあまり使わない方が良いってことですか?」
 飛天院と称される彼の、今は一対にしか見えない真紅の翼へ視線をやって言えば、その視線に気付いたのだろう、メルキオールはゆるやかに翼を揺らした。
「それを含めて考えなさいということさ。もっと言うなら、君の使い方次第ということだ。――ああ、これを私が教えたということは秘密だよ」
 にっこりと真意の見えない微笑みを浮かべた唇の前で、人差し指を立ててメルキオールは言う。だが、人好きのしそうな笑みなのに、この人の日頃の素行を知っているとどうにも不安な気分になってしまう。
「……そんなこと言われると、矢っ張りこれ、いけないことだったんじゃないかって気分になるんですけど……」
「そんなことはないさ。使っている私が保証するよ。……けれど私が教えたとばれるといろいろゴタゴタがありそうだからね」
 そのゴタゴタというのは自分に降りかかるものなんだろうか、それとも彼に降りかかるものなんだろうか。眉を寄せて難しい顔をしたサイアスに、飛天院は続ける。
「解るだろう?私はそういうのは嫌なんだ。これでも平和主義なのだよ」
「誰の平和ですか、それ」
「はは、確かに大人の世界では事なかれ主義とも言い換えられるがね。……君の賢いところは好ましいが、口は災いの元だよ」

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 以前メモでも語ったんですが、
 2章のサイアスさんは翼が隠れる場所がない→魔法か何かで誤魔化しているに違いない→翼を隠す魔法は歓迎されなさそうだけど、その魔法を教えたのは誰か?→飛天院様って可能性はあるよね!

 という思考で書かれました。
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2009/02/01
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