「……殺したいほど憎い、ではなく」

「殺したいから、憎いのだ」


　言ったあんたの眼に、憐れみの色が混じっているのは何故だ。
　あんたは俺が嫌いだろう。なのにそんな勿体ぶった言い方をする理由は何だ。

「何故千年も生きていた？」

　なあ、気付いてるか？
　あんたの言い方、まるであんたと戦わなきゃいけない俺を憐れんでるみたいだ。

　タイトルは辞書の例文をそのまま持ってきたので、英文・訳文共に間違ってはいないはず。……相応しいかはともかくとして。

　真紅の決戦ペアです。拍手オマケの「ルシフェル」のしばらく後くらいのつもりで書いてましたが、別に普通に対戦前でもいけるんじゃないか、これ。


　ナルキさんは、神様の意志で動く。
　だから、神様の意志に逆らう（滅ぼそうとする天の意志に反抗する人間の筆頭）サイアスさんとは戦わなければならない。
　ただ、サイアスさんのことをナルキさんは知っている。
　でも彼は天の一部であるので、天の意志に逆らうサイアスさんを憎むしかないし、神様の圧倒的な力を知っているナルキさんは、逆らっても結局は滅ぼされるであろう人を憐れむしかない。

　千年の間に朽ちていれば、天の意志を見ることもなかったろうに。そう思ってる。