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2024/09/23

「……さっきの話なんだが」
「さっき?」
「君の自己申告についての話だ」
「……俺、何か言ったっけ」
「生化学はあまりやっていない、と」
「ああ。ほとんどやってない。……悪いな、そういう話付き合えなくて」
「いや……そういう意味ではないんだ。君は、医術院出ではないのか?」
「……なんで? 別に医者じゃないメディックだって沢山いるだろ。そりゃ、ここには薬泉院があるから、本業は医者って奴も多いけど」
「君の今までの発言から感じた知識レベルは、衛生士のレベルではない。専門的な学術機関のレベルだ。――学院では当然生化学かそれに準ずる講義を受けたはずだが?」
「待ってくれよ、あんたの言ってることは半分当たってるけど半分ハズレ」
「どこが半分だ?」
「俺は確かに学院にいたことがあるけど、卒業してねぇの」
「…………」
「……その深刻そうな顔止めてくれ」
「……休学か?」
「いや。自主退学」
「…………どんな事情があったのかは知らないが、学問を途中で諦めねばならないとは、何という」
「待て。勝手に話作んな」
「しかし」
「しかしも賺しもねーよ、俺はただ単に学年上がる単位が足りなかっただけ。実習の単位、取れなくてさ」
「ふむ……だが、人より遅れても卒業できないことはなかったろう。勿体ない話だ」
「勿体ねーのは俺じゃなく、余分にかかる金の方。そういうわけだから、ヤブなんだよ、俺」
「そういう物言いは感心しない」
「つっても事実だし……まあ、そうか。ヤブって自称してる奴に治療されたら不安だよな。悪い」
「…………」
「ああ、だから、本気でヤバそうだったら俺とかじゃなく、薬泉院行け。……ツキモリは面倒臭いけど、良い医者だから」

拍手




 もとは拍手につっこんであったネタ。
 黒ケミと触角メディ。「シャーレ中の極彩」の後の話。

 2の触角は切ったり貼ったり縫ったりが苦手。むしろトラウマ。向いてない。
 実習の単位が取れなかったのは本当。
 お金がなかったのも、まあ本当。
 でもやる気がなかったわけじゃない。

 中途半端にやる気はあった所為で、ドロップアウト組だっていうのはちょっとコンプレックスになってる。
 力不足だっていうことが実は不安で堪らない。

 信頼が怖い。
 信頼されて命を預けられるのが怖い。
 信頼なんてしないでくれ。自分にはそんな力なんてない。

 根底にはそういうネガ思考がある人です。
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2010/05/27
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