獰猛な唸り声、陽光を弾き返さないのが不思議なほどの鋭い爪。
――駄目だ、と思った。間に合わない。
そう思った瞬間、咄嗟に目の前にあった肩を掴んで体を入れ替えた。悲鳴が上がる。誰の?そんなことを考える間もなく、真っ赤なオオヤマネコの口が、視界いっぱいに拡がった。
「――っ無茶は止してください!」
「……ごめんなさい、」
「貴女を守るためにみんな必死なんだ。貴女のそれは、一人の命じゃないんです!」
「……ど」
「え?」
「けれど……あなた方が死んでしまったら、私はもう王女でも何でもなくなってしまいます」
「……何を言ってるんですか。俺達如きが死んだところで、貴女は王女だ。国には陛下も王妃様も、召使いも国民も、沢山居るでしょう。みな貴女を王女と呼びますよ」
「…………」
「……えっ、な、」
「ごめんなさい、泣くのは卑怯ですね」
「いえ、その……言い過ぎました」
「いいえ。……いいえ、いいえ、ありがとう」
――駄目だ、と思った。間に合わない。
そう思った瞬間、咄嗟に目の前にあった肩を掴んで体を入れ替えた。悲鳴が上がる。誰の?そんなことを考える間もなく、真っ赤なオオヤマネコの口が、視界いっぱいに拡がった。
「――っ無茶は止してください!」
「……ごめんなさい、」
「貴女を守るためにみんな必死なんだ。貴女のそれは、一人の命じゃないんです!」
「……ど」
「え?」
「けれど……あなた方が死んでしまったら、私はもう王女でも何でもなくなってしまいます」
「……何を言ってるんですか。俺達如きが死んだところで、貴女は王女だ。国には陛下も王妃様も、召使いも国民も、沢山居るでしょう。みな貴女を王女と呼びますよ」
「…………」
「……えっ、な、」
「ごめんなさい、泣くのは卑怯ですね」
「いえ、その……言い過ぎました」
「いいえ。……いいえ、いいえ、ありがとう」
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( 2010/07/04)
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