「ありがとう、メリッサ」
薄い銀で作った鈴を転がすような澄んだ声で言われて、メリッサは頭の芯に霞がかかるのを感じる。
鹿の嘶きを聞いてしまった時に少し似ているが、あんなものとは全然違う。
正体のない不安を煽るあの声とは違い、ファーラの声は優しい。ビリビリと空気を震わせるのではなく、澄んだ声で真っ直ぐに響く。
その喉から紡がれる言葉は、メリッサをふわふわとしたひどく幸せな気分にする。この声に呼びかけてもらうためなら何でもしよう、そんな気分になるのだ。
まるで御伽噺の魔物の歌声に操られた人々のような言だと思う。けれど、きっと姫様の声は魔法の声なのだ。姫様の声には、聴いた者の力を奮い立たせ、恐れや悪しきものを打ち破る力がある。そんな声に人を惹きつける力があったって、何の不思議もない。
だから、とメリッサは思う。たとえこの気持ちが、その魔法の喉に惑わされているのだとしても構わない。
だって、こんなに暖かに満たされる気持ちを生む声が、悪いもののはずはないのだから。
薄い銀で作った鈴を転がすような澄んだ声で言われて、メリッサは頭の芯に霞がかかるのを感じる。
鹿の嘶きを聞いてしまった時に少し似ているが、あんなものとは全然違う。
正体のない不安を煽るあの声とは違い、ファーラの声は優しい。ビリビリと空気を震わせるのではなく、澄んだ声で真っ直ぐに響く。
その喉から紡がれる言葉は、メリッサをふわふわとしたひどく幸せな気分にする。この声に呼びかけてもらうためなら何でもしよう、そんな気分になるのだ。
まるで御伽噺の魔物の歌声に操られた人々のような言だと思う。けれど、きっと姫様の声は魔法の声なのだ。姫様の声には、聴いた者の力を奮い立たせ、恐れや悪しきものを打ち破る力がある。そんな声に人を惹きつける力があったって、何の不思議もない。
だから、とメリッサは思う。たとえこの気持ちが、その魔法の喉に惑わされているのだとしても構わない。
だって、こんなに暖かに満たされる気持ちを生む声が、悪いもののはずはないのだから。
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( 2010/05/09)
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