「ファーラさんは、良いお家のお生まれなのですね」
「……そんなことも解ってしまうのですか」
「ファーラさんの生まれ星は、支配者の星に属していますから」
「そう……私の生まれが解るのなら、占星術で未来も見えるのでしょうか？」
「あまり期待なさらない方がいいですよ。……そうですね、ファーラさんの星は……古い血に強い影響を受けます。しばらくは他の星との交差が多くなりますね。それから……軌跡を辿る気配が」
「軌跡？」
「既に示された運命、用意された道……或いは誰かの後を追うことだと言われています」
「それは……少し、残念な気もしますわ。用意された道からは、逸れてしまったつもりだったので」
「気になさらないでください。私の星詠みは、当たりませんから」

　白ゾディ子と金姫。

　白ゾディ子は、占いはあまりやりません。
　代わりに天体運行の予測は異常に正確です。占星術師というよりは天文学者に近い。
　占いの方は、完全に体系に則っています。「この配置にはこういう意味がある」「この星にはこういう意味がある」「この星々はどういう運行をするから、やがてこの配置になる」。
　自分の解釈を挟むことをあまり良しとしないので、詳しいことは語りたがらない。


　当たりませんから、と言ってはいるけど、この占いはしっかり当たっていて、金姫は自国に伝わる伝承の女王の足跡をなぞるが如く、海から訪れて王位を簒奪するのです。