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2024/09/23

 戦士の血を引く兄妹達は国へ帰った。
 海賊と巫者の少女は船を得て島を去り、僧侶は一日の終わりを告げるような軽い挨拶とともに姿を消した。
 異国渡りの技師は、篭もる場所を世界寿の根本の迷宮から港の縁の工場へと変え、今もあの島にいる。
 国を追われた主従達は、まだほとぼりが冷めるまで、迷宮の謎を糧に暮らすらしい。「この島離れたくない理由も出来たしねぇ?」そう含んだ顔で笑って、気安い従者は真昼の真っ白な光の中に波打つ髪を曝し、宿を出ていった。
 彼らを監視しているという青年二人も、やはりそれを追うように宿を引き払っていった。物々しく加入した二人だったが、いざギルドを離れるにあたって、もっとも丁寧な対応をしていったのは彼らだった。公の任ではない故に礼状もしたためられぬ不義理をお許しいただきたく、と言って頭を下げた青年に、メリッサは随分と面食らったものだ。
 そうして一人減り二人減り、すっかり人の気配のしなくなった宿の一角の一部屋で、先に旅立っていった彼らと同じく荷物をまとめ、港の船着き場でシスターと技師の見送りを受けたのが、丁度一週間前のこと。
 長いようで短い船旅が終わり、この船が港へ着けば、そこで長いこと行動を共にした青髪の青年の任務も終わる。晴れて彼は海軍に戻れるというわけだ。
 そうしてギルドは、また二人きりになる。世界寿の麓へいこう、そう約束した日の、ファルファーラとメリッサのたった二人きりに。

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2011/06/10
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