「――あ、ちょっと待って殿下。買い忘れ」
「……戻るのか。この道を」
「そんな顔しない。大丈夫、すぐそこ」
「? 薬屋だぞ?」
「そうだよ。髪の染料はああいうトコで売ってんの」
「……まだ続けるつもりか」
「え?」
「髪。……染めはじめたのは、」
「いいよ殿下。いいよ、言わないで。……そうだね、ここには見せてやりたい奴は居ないねぇ」
「…………妙なことを言った。染めたければ好きにしろ」
「ううん。……ありがと。ねぇ殿下」
「何だ?」
「あたしの母さんの髪の色、覚えてる? 殿下が最後に会ったの、ちいーさい頃だったけど」
「覚えているわけがないだろう。お前の今の髪の色ではないのか?」
「あっは! そっか、そうだよねぇ。覚えてるわけ、ないよね」
「…………」
「あたしもね、実はもう、覚えてない」
「……戻るのか。この道を」
「そんな顔しない。大丈夫、すぐそこ」
「? 薬屋だぞ?」
「そうだよ。髪の染料はああいうトコで売ってんの」
「……まだ続けるつもりか」
「え?」
「髪。……染めはじめたのは、」
「いいよ殿下。いいよ、言わないで。……そうだね、ここには見せてやりたい奴は居ないねぇ」
「…………妙なことを言った。染めたければ好きにしろ」
「ううん。……ありがと。ねぇ殿下」
「何だ?」
「あたしの母さんの髪の色、覚えてる? 殿下が最後に会ったの、ちいーさい頃だったけど」
「覚えているわけがないだろう。お前の今の髪の色ではないのか?」
「あっは! そっか、そうだよねぇ。覚えてるわけ、ないよね」
「…………」
「あたしもね、実はもう、覚えてない」
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( 2010/08/10)
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