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2024/09/23

「ファーラ様は、……ミュルメクス様のように、国をお治めになるために育てられたお方ではありませんから」
 色の薄い金髪の頭を俯かせて、青いエプロンドレスの少女は言う。
「ここに来たときもそうでした。ファーラ様は貴方のように戦いを身近に置いてお育ちになった方ではありません。本来、易々と迷宮に入ることが出来るお方ではなかったのです」
 元よりさほど身の丈のないアキツだったが、少女の背丈はそれよりも尚低く、俯いた表情を伺うことは出来ない。アキツはただ、華奢な手がぎゅうと握られ、白いエプロンに皺が寄るのを見ていた。
「ですがファーラ様はそれでも迷宮に挑まれました。何度も無理をなさって、お命を危険に晒したことすら」
 将軍様からすれば愚かに思われるでしょう、と少女はそこで一度言葉を切って、握っていたエプロンを放すと、目元を拭う。その拭った手でエプロンの皺を押さえつけて伸ばすと、木綿の生地には小さく水滴の染みが残った。
「ですが、当時のファーラ様にはそうするしかなかったのです。そうしなければ、誰も付いてきてくれないと仰いました。……今も同じです。国にはファーラ様の味方になってくださる方がおりません。ですからまずご自身が、国をお治めになれるだけのお力を付けようとしておられるのです。……ご無理をなさってでも」
 ふと、少女が顔を上げた。潤んだ瞳が一度だけ瞬いたが、涙はこぼれなかった。薄青の瞳に悲しみと憤りを当分に宿して、少女はアキツを見上げる。まるで仔猫を庇って毛を逆立てる母猫のようだと思いながら、アキツはそれを笑う気にはなれなかった。
「……昼間は、ファーラ様のチェスにお付き合いくださりありがとうございます。将軍様の軍略はためになると、ファーラ様も仰っておりました。また機会がありましたら、是非お相手して差し上げてくださいますよう、私からお願いいたします。……ですが今は。ファーラ様は先ほどお休みになったばかりなのです。どうか、お引き取りください」

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 六層攻略についての相談をしに来た若ショでしたが、アリスに追い返されてしまいました。

 黒プリはなんだかんだ言って、「王様になるための王子様」の教育受けてます。政治の仕組みとか、諸国情勢とか。
 金姫は途中から王位継承者としては見放されていたので、そういう教育は中途半端にしか受けてない。けど国に帰ったら不甲斐ない兄上にかわって王位をぶんどる気なので、そのために王様になるためのお勉強中。

 国に味方が居ないというのは割とマジです。なのでアーモロードの英雄として帰還して、なんとか国内に味方を作る必要がある。

 金姫の味方が居ないから自分で出来るように、って思考は、例え自分一人になっても困らないように、って若ショの考えと似通ったところがあるので、若ショとしては微妙な気分。
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2010/09/18
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