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2024/09/23

 昔々、パンドラ、という名の女性が居たそうだ。
 最初に作られた女性である彼女は、神々から様々な贈り物を授かった。美しさ、歌の才能、人を癒す技術、……それから一つの箱と、好奇心。
 そうして人の世界に送り込まれた彼女は、けれどある日、好奇心に負けて、開けてはいけないと言われた箱を開いてしまう。
 ほんの僅かに開いた箱の隙間から溢れたのは無数の災厄で、パンドラは慌てて箱を閉じたが、最後に箱の中に残った一つ以外は、世界に散らばってしまった後だった。
 残ったものが何だったのかはわからない。先の全てを予知してしまう能力だったとか、絶望だけは箱に残って世界に散らなかっただとか、或いは箱の底に残ったのは希望で、だから世界には絶望があるのだ、とか。色々な説があるけれど、パンドラの箱から一番最初に飛び出たと言われている物はいつも同じだ。
 ――疫病。すなわち、痛みと苦しみ。

 口の広いガラス瓶に溜まった、茶色の粘土のような樹液を軽く日に透かして、彼は眼を細める。
 時折ふと思い出すのだ。

 ――もし、神話のように、この世の全てが誰かに作られたものだとしたら。
 ――痛みから人々を解きはなってくれるこの花は、はたして救いの手なのか、堕落への誘いなのか?
 ――お前はどう思う?

 多分、と彼は独白する。
 そのどちらでもあるし、どちらでもないのだろう。
 ただ願わくば、こうして今薄い花弁を開かせているこの花が、憎まれる使い方をされないことを。

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 花屋さんの独白。
 最近樹海関係ない話ばっかりだよね……うん……

 パンドラの話は半分嘘です。
 というか、一応何件か見て回ったパンドラの神話では、溢れ出た災厄の例の筆頭に疫病があがってたので疫病と書きましたが、確認取れたわけではないです……
 
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2010/09/23
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