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2024/09/23

陸に上がった鯨たちには、星の重力は重すぎた。
彼等には柔らかな水の抱擁が必要だった。

「…随分詩的だね」
「俺ロマンチックなの好きだもん。競争に負けて海に帰った、よりよっぽど綺麗じゃね?」
「綺麗な方がいいなんて言ってたらいつか間違う」
「いいよ。俺正しい事なんて見えないし」

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2014/06/04

 ねえ、と彼女は囁く。
 都市には分厚い海水を通した仄暗い光が注ぎ、夜は星の光も届かない青い闇に閉ざされた。上の天候次第では、日の光は一切届かず、昼でも夜と同じような闇があちこちにわだかまる。そんな日には僅かに棲まう肉持つ人々のために、エーテルのランプが灯された。

この都で時を告げるのは太陽でも鶏でもなく、神殿に備え付けられた星時計だった。
低い海鳴りと、密やかな海流の流れ。それらに異質に混じる、歯車の擦れる音。ゆっくりと回る巨大な金属の環。

 ねえ、と微かな声で彼女は囁く。
 心ってどこにあると思う?私は一体この体のどこに居ると思う?魂とか心とか呼ばれる物はどこに収まっているのかしら。心臓?脳?それともこの体全部にばらまかれているのかしら。そうしたら、あなたは私のどこまで愛してくれる?

 寝台の上で身を寄せ合って、微睡みに意識を浸しながらそんなことを語る。
 彼女の語ることの半分は俺には理解できない。けれどそう言うと、彼女はそれで良いわ、と静かに言う。

 心臓が止まってしまっても、すぐに体全部が死んでしまうわけではないわ。呼吸が止まれば脳は死んでしまうけれど、血液に溶けた酸素が数時間は臓器を生かしてくれる。筋や皮膚が死んで腐るにはもっと時間がかかるわ。
 ねえ、私の魂がこの体全部に宿っているとしたら、私が本当に死んでしまうのはいつ?
 この体に埋め込んだ機兵のパーツにも、魂は宿るかしら?

 悲しい話に俺は答えることが出来なくて、彼女はそれでも、仕方ない人、と密やかに笑う。

 海の底に沈んだ都、時を止めた街で、本当に時が止まればいいのに。

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 例えば、この瞬間君に何かを告げるなら。
 じわりと胸の内に生まれた熱に名前を付けるとするなら。

 いつもそこまで考えて、急に黙り込んだ僕を怪訝そうに振り返る君に、何でもないと笑う。
 そうしてこの熱の正体なんて忘れたふりをして、いつもの日常に戻ってゆく。

 僕は未だに、これが友愛なのか恋愛なのか決めかねている。

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 colony

欲しい欲しい欲しい欲しい、手に入れないなんて選択肢はもう考えられない。
思考を占めるのは、どうしたら自分の物になるかだけ。

(まるで拙い恋のように)

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2010/02/28

僕たちは、対であるもの、という称号を与えられた、ただの他人だ。

顔の造作も
(親子ほどもある見た目の差)
体の形も
(前衛の体と後衛の体、)
声も
(重低音と、戯けた軽さ)
精神も
(忠誠を誓った兄貴と、態度を決めない僕と)
血の型でさえ、僕らは違う。
一致しない。同じになれない。

なら、一体何で繋がればいい?

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 抱き寄せた頭に鼻先を埋めれば、汗ばんだ肌と湿った髪の匂いがした。

 たったそれだけで、満たされてしまう。

 これ以上なんて、何を望んでいいのか解らない。

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(……ああ)

 なんだ、そんな顔も出来るんだ。
 知らなかった。
 少しだけ悔しいかな。それが面白くもあるけれど。

(でも、)

(多分これ以上は見ちゃいけない)





(きっと嫉妬に変わるから)

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2008/11/22

 掌の、重み。


 (どうして、)

 髪をかき混ぜるてのひらが、こんなに優しい。

 (こんなに大きかったなんて、気付かなかった)

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2008/08/22

 解ってた。
 受け入れてもらえないことくらい。
 解ってた。
 欲しくて堪らないこの気持ちがいつか決壊することは。
 解ってた。
 これ以上を望んだら全部壊れるって。

 全部解ってたんだ。

 解っていて奪った。

 これが寄り添って満足出来るような感情だったら、どんなにか良かったか。

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2008/04/05
 about

 ブログに書くにはちょっと短すぎるネタ等々の掃きだめです。  九助とは和菓子を作った後の切り落としなどの余った部分のこと。切り落としでも物は最高、と言うような意味。

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2005/12/10
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