忍者ブログ
小ネタ投下場所  if内容もあります。
 [PR]
 

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。




2024/09/23

 以前書いた「花に嵐」の続き……として書こうとしていた物……の発展系なのですが、場面が飛ぶのと、内容が割と酷い気がしたので、「花に嵐」とは別物扱いにさせていただきます。

 ……ええと、私は、主人公がズタボロになったりする少年漫画が好きです……いや今回負けたりするのはマキシさんではないんですが。

 マキシさんがSなのか女々しいのか。
 ミロクさんの諦めが良すぎるとか。

 そんな感じなので嫌な予感がした方は見なかったことに。

拍手




 ぴく、と痙攣するように動いた指先に力を集める。ぱちりと小さな雷が爪の周りで散ったが、けれどそれだけだった。
 左手にあったはずの弓は、不覚にもさっきの一撃で吹き飛んでしまっている。視界の端に転がっているのを見る限り何所も壊れてはいないようなのには、少し安堵した。
 土を掻いた指に繋がる腕も、今は投げ出された足も、幸いなことに無事だったが、通した布地の上から眩い金色の髪をした少年の膝が乗っており、地に倒れたこの姿勢から不意を突くのは至難だ。頼みは自らの魔力であったが、どうやら使いすぎた。弓さえあればまだ雷の一つも射てようが、枯渇する魔力と収束する道具のないこの有様では驚かせることは出来はしても、しかしそれでこの少年が隙を作るかどうか。
 そこまで考えて、ミロクは肩から力を抜いた。そのまま張り詰めていた全身を弛緩させる。
 まったく、神というのは、侮りがたい。
 途端に胸に乗せられた少年の足の重みが妙に意識されて、呼吸が苦しくなったような気がした。
 静かに息を吐く。手加減は、されている。
 けれどそれは何とも皮肉だ。
 殺してくれとは言わないけれど、種のように眠り続けるくらいなら、無謀に枯死した方がよほど潔い。何も出来ない微睡みは沢山だ。
 少しだけ下げた視線の先には、少年の顔がある。背後からの日を受けて、黄金の髪が燃えるようだ。
 ああ、こんなものなら上出来だ。少なくとも箱の中で朽ちてゆくよりは。
 動かない少年に、ミロクは問いかけてやる。合図が欲しいというのなら、いくら放ってやったって良い。
 のせられた重石のせいで肺が動きづらくて、掠れた声になった。
「手を下すのなら早くしたまえ」
 ぴく、と少年の肩が跳ねた気がした。少し足が揺れたけれども、それでもかけられた体重は減じない。
 そう、そのまま踏み抜けば、少年の足は簡単にこの骨を折って肺腑を貫く。多分あまり苦しまずに逝ける。
 ミロクは眼を細めて、口端を少し吊り上げて笑ってやる。かつて悪友が嫌な笑い方だといった表情だ。
「それとも一時の情けをかけて封印するかね?見逃す気がないのなら、大層な悪趣味だ」
PR



2008/10/25
prev  home  next
ブログ内検索

忍者ブログ [PR]
  (design by 夜井)