かくれんぼが好きだった。
野を渡る風、芒の原。
枯れ草の間に身をかがめて、もう良いよ、とそう叫ぶ。
こうして隠れてしまえばもう見つからない。枯芒は、子供がかき分けて進むには高すぎた。
姉が自分を探してくれるのが嬉しかった。
ほんの少しの優越と、それから明確な理由のない恐ろしさ。
それを押し込めてじっとしていると、じきに姉は自分の名を呼び出すのだ。出ておいで。もう降参だ、と。
せつな。
せつな、
せつな、木枯らしと同じ色をした声は幼子が呼ばわるようで。
泣き出しそうな声に立ち上がった。
おねえちゃん。
ごめん。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
野を渡る風、芒の原。
枯れ草の間に身をかがめて、もう良いよ、とそう叫ぶ。
こうして隠れてしまえばもう見つからない。枯芒は、子供がかき分けて進むには高すぎた。
姉が自分を探してくれるのが嬉しかった。
ほんの少しの優越と、それから明確な理由のない恐ろしさ。
それを押し込めてじっとしていると、じきに姉は自分の名を呼び出すのだ。出ておいで。もう降参だ、と。
せつな。
せつな、
せつな、木枯らしと同じ色をした声は幼子が呼ばわるようで。
泣き出しそうな声に立ち上がった。
おねえちゃん。
ごめん。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
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( 2006/12/25)
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