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2024/09/23
 神羅

「無血の玉座などあり得ない」

 背後からの声にぴたりと足が止まった。
 白く高い天井に、足音の残響だけが空虚に響いて消える。

「その手でどれだけの敵を殺した?敵だけじゃない、どれだけの兵を犠牲にした。どれだけの民を裁いた?」
「……やめてください」
「見ろ」
 
 眼下を視線で指して、父は続ける。

「……っやめてくださいと、」
「お前の手は真っ赤だ。解るな?翼よりももっと濃い、絡みついて取れない、民の血の色だ」
「貴方が!」
 たまりかねてアレックスは叫んだ。

「貴方がそれを言うのですか!他でもない、貴方が!」

 叫び声が暗い天井に跳ね返る。
 アレックスは理解できない。したくもない。


「私だからこそ言うのだよ、愛し子よ」


 そうして微笑む彼を理解できない。

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 メルキ様は息子を立派に育てるためなら悪役だってやるよね、という妄想。
 酷いことだってしなければならないんだよ、とは素直に言わない。


 汚いことも綺麗なことも全部教える。
 まあそんな感じでアレックスは鬱屈たまってるイメージです。……おかしいな。もっと明るいイメージもあるのですが。

 いずれにしろ、あの子は笑顔に嘘がある子だと思う。
 それでも、こう、何人かで談笑して、笑いあって、そのすぐ後に重役なんかが席を外して、サイガたんと二人きりになったりして、そこで、


「……なぁ、アレックスは、何故そうもつまらなそうなのだ?」

「…つまらなそうに、見えますか、僕」

「お主は、面白いときほど、笑わぬ」

 そして、そなたは俺の前では安堵してくれぬ。

「……はは、まいったなぁ」



「何故笑わないかって?簡単です、面白くないからですよ」
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2007/08/08
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