「無血の玉座などあり得ない」
背後からの声にぴたりと足が止まった。
白く高い天井に、足音の残響だけが空虚に響いて消える。
「その手でどれだけの敵を殺した?敵だけじゃない、どれだけの兵を犠牲にした。どれだけの民を裁いた?」
「……やめてください」
「見ろ」
眼下を視線で指して、父は続ける。
「……っやめてくださいと、」
「お前の手は真っ赤だ。解るな?翼よりももっと濃い、絡みついて取れない、民の血の色だ」
「貴方が!」
たまりかねてアレックスは叫んだ。
「貴方がそれを言うのですか!他でもない、貴方が!」
叫び声が暗い天井に跳ね返る。
アレックスは理解できない。したくもない。
「私だからこそ言うのだよ、愛し子よ」
そうして微笑む彼を理解できない。
背後からの声にぴたりと足が止まった。
白く高い天井に、足音の残響だけが空虚に響いて消える。
「その手でどれだけの敵を殺した?敵だけじゃない、どれだけの兵を犠牲にした。どれだけの民を裁いた?」
「……やめてください」
「見ろ」
眼下を視線で指して、父は続ける。
「……っやめてくださいと、」
「お前の手は真っ赤だ。解るな?翼よりももっと濃い、絡みついて取れない、民の血の色だ」
「貴方が!」
たまりかねてアレックスは叫んだ。
「貴方がそれを言うのですか!他でもない、貴方が!」
叫び声が暗い天井に跳ね返る。
アレックスは理解できない。したくもない。
「私だからこそ言うのだよ、愛し子よ」
そうして微笑む彼を理解できない。
メルキ様は息子を立派に育てるためなら悪役だってやるよね、という妄想。
酷いことだってしなければならないんだよ、とは素直に言わない。
汚いことも綺麗なことも全部教える。
まあそんな感じでアレックスは鬱屈たまってるイメージです。……おかしいな。もっと明るいイメージもあるのですが。
いずれにしろ、あの子は笑顔に嘘がある子だと思う。
それでも、こう、何人かで談笑して、笑いあって、そのすぐ後に重役なんかが席を外して、サイガたんと二人きりになったりして、そこで、
「……なぁ、アレックスは、何故そうもつまらなそうなのだ?」
「…つまらなそうに、見えますか、僕」
「お主は、面白いときほど、笑わぬ」
そして、そなたは俺の前では安堵してくれぬ。
「……はは、まいったなぁ」
「何故笑わないかって?簡単です、面白くないからですよ」
酷いことだってしなければならないんだよ、とは素直に言わない。
汚いことも綺麗なことも全部教える。
まあそんな感じでアレックスは鬱屈たまってるイメージです。……おかしいな。もっと明るいイメージもあるのですが。
いずれにしろ、あの子は笑顔に嘘がある子だと思う。
それでも、こう、何人かで談笑して、笑いあって、そのすぐ後に重役なんかが席を外して、サイガたんと二人きりになったりして、そこで、
「……なぁ、アレックスは、何故そうもつまらなそうなのだ?」
「…つまらなそうに、見えますか、僕」
「お主は、面白いときほど、笑わぬ」
そして、そなたは俺の前では安堵してくれぬ。
「……はは、まいったなぁ」
「何故笑わないかって?簡単です、面白くないからですよ」
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( 2007/08/08)
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