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2024/09/23
 福音
 神羅

 曇り空を透かしたステンドグラスは重い色をして、描かれた聖人の色のない肌ばかりが白い。

 彼に許された最も正式な手順で礼拝を行ったメルキオールが視線を上げた先には、神を模したのだという十字架が奇跡を行う聖人達に囲まれて、屹立していた。
 城の片隅にあるこのこぢんまりとした礼拝堂には厳粛な静謐が満ちていたが、今静けさを保っているのはこの堂内だけだ。

 閉ざされる窓。兵卒達の慌ただしい軍靴の音。密やかに交わされる不安の視線。大聖堂は怯えた祈りを囁く者達で溢れているだろう。
 だが、大聖堂での式典などの際に、代わりの祈りの場として使われるだけのこの礼拝堂には、今は彼以外の人影はなかった。不安を打ち消すための祈りを一人で行いたがる者などそうそう居ないだろう。

 祭壇に灯された灯火を受けて、十字架の表面に施された精緻な彫刻が浮かび上がっている。今まで何百年と人々の祈りを受けてきたであろうそれを見上げて、彼はふと息を吐いた。

 祈りの言葉も礼拝の仕草も、ただ倣い覚えただけのものだ。そこに伴う信仰心は、この十字架に祈りを捧げてきた敬虔な人々に比べれば無いに等しい。
 信仰の地位を得て、もっともらしい言葉を語り、敬虔な信徒たる振る舞いを真似てみたところで、己の内実は変わらなかった。
 本当は、神の実在なんて信じてはいない。その姿を模したのだという十字架は、だから彼にとっては神そのものだ。都合の良い祈るべき対象でしかない。
 そう思っている自分がこんな所で大真面目に祈りを捧げるというのは、考えてみれば実に滑稽だ。普段は無信心なくせに、こんな時だけ願って叶うことを望むとは、虫の良い話だ。
 ほんの少しだけ罪悪感はあった。けれどそれはこの神を信仰する人々に対してのもので、決して神それ自体に対するものではないのだ。


 やはり私は敬虔な信徒にはなれそうもないな。
 ああでも、それならばこの祈りは一体何のためなのだろうね。


 思いながら唇はもう一度祈りの言葉を呟いた。


(どうか)

(あの子達の上に加護があるように)

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 アレックス様とアルマ姫の無事を祈る飛天院様。
 四弾決戦前。アレクとアルマちゃんが皇魔戦に征っているのは公式ですけど、飛天院様はきっとお城にいたよねと。思ってます。
 一応以前ここに書いた「聖なるかな」と同じ場所です。

 書いてから気付いたんですが、飛天の聖堂で十字架が地面に付いているというのはおかしいかなぁ……おかしいよなぁきっと……

 かなり久し振りに飛天院様を。書いたようです。……語ってるからもっと書いたような気がしていました。

 ラモンさんは、結構信心深いといいと思うんです。……いや、本人はそういう気はあんまりないんだけど、おばあちゃんが信心深い人で、その習慣が染みついているような。真剣に信じているというより、生活の一部として信仰がある感じ?戦闘の前には十字切って聖句を呟いたりとか。
 ナルさんはきちっと信仰がありそうな。本心はよく解りませんけど振る舞いは敬虔に飛天式だと。……二つ名から、あの人聖騎士の称号とか持ってそうだと思うんです。
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2008/12/03
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