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2024/09/23

 由来はSQ3ですが、1.5通り越して既に1じゃね? というレベルなのであえてカテゴリ:未選択で。
 来週に備えて花屋さんの周りの人の話。おそらく10~20年前に起こったこと。

 

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 やり過ぎじゃないのか、と眉を顰めた友人の答えは予想の範囲を逸脱するものではなく、慈悲深いね、と用意していた笑顔をそのまま再現してナサニールが言うと、友人は更に眉間の皺を深くした。
 半分皮肉、残りの半分は隠した本音の台詞に、そうじゃない、とゼスランは首を振る。
「罰ってのは確かに必要だろうさ。けどいきなりそれはやり過ぎだ」
 湯気の立つマグカップからの香りも、彼の眉間の皺を解してくれることはないようだ。勿論、頑ななナサニールの決意を変えることもない。そこそこ値の張る茶葉も、頑固な大人二人の前には無力だった。
「やり過ぎなものか。今の海都の法が、こと今回のことに関していかに無力か、お前も知らないとは言わないだろう?」
 問いに答えるように、ひくりと彼の左手が痙攣して、掛布を握りしめるのをちらりと見遣って、ナサニールは追い打ちを掛ける。
「それとも、この緩い法のまま次の犠牲者を出せと?」
「だから!それについては反対しちゃいないだろ。でもいきなり極刑ってのはやり過ぎだ。急な……特に取り返しの付かないものは受け容れられにくい。何か問題でも起こってみろ、お前の立場だってどうなるか」
「どうとでもなるといい。お前の受けた仕打ちに比べれば、私の名声などどれほどのものかね」
「っニール、」
「気持ちは解らないでもないがね、ゼスラン――人殺しを許す慈悲は、人殺しを育てるのと同じだ」
「……だからって、お前が人殺しになるって?」
「私じゃない。法がそうするようにするんだ」
「ナサニール!」
 激しい声に、わざとらしくゆっくり振り向いて視線を合わせる。それでお互い悟っただろう。
「ゼスラン」
 殊更含むように、たった2歩分の距離しか離れていない友人の名を呼ぶ。――以前なら、ここまで無茶を言ったならば、とっくに肩なり胸倉なりを掴まれて、至近距離で怒鳴りあいになっていたはずだ。
 けれど今は? 片足を失ったゼスランは、このたった2歩の距離を縮めることすら出来ない。
「許せないんだよ、私は」
 本当ならば極刑どころか、四肢を落として彼と同じ目に遭わせてやりたい。それでナサニール自身が地獄に堕ちるというのなら、それはそれで正しい罰というものだ。ゼスランが襲撃に遭うきっかけを作ったのはナサニールなのだから。
「……許せないんだ」



 ナサニール氏が法を整備し直したのは、決して遠回しな復讐だけが理由ではなかったけれど、彼を動かした一番最初の原動力は、間違いなく復讐心だった、という話。

 しかし当宅SQ3で法とか権力に関わる人は、どっかあぶなっかしいのは何故だ……
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2010/11/09
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