忍者ブログ
小ネタ投下場所  if内容もあります。
 [PR]
 

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。




2024/09/23

 SQ3、花屋さんの保護者二人、捕り物騒動の後日談。
 悪因悪果の続き。

拍手




「やれやれだ。通すと言った法案が通って、実際に一番行使したい奴らに行使することが出来たのに、思っていたほどには変わらん。まったく……」
「おいおい、死人に鞭打つような真似は止せよ?」
「私もそこまで鬼ではないよ」

「……本当はね、解っていたのさ」

「仮に犯人を八つ裂きにしてみたところで、時間は戻らない。結局君には、少々気が晴れる程度の恩恵しかないだろう。どれもこれも私の自己満足だ」
「ニール、それ以上言うなよ。お前が遮二無二なって作った法のおかげで、俺もドルナーも随分楽してるんだぜ。こないだの件だって……あんだけ派手に動けたのは、法が許したからだ。だからもうーー」
「……そうだな。もう、不毛な繰り言は終わりにしよう。……一つ、聞いてくれるか、ゼスラン」
「“繰り言”じゃないなら」
「確かこれは初めて言うと思ったな。
 ーー全て終わったら、謝ろうと思っていた」


「お前の傷を抉りなおすようなことを言ってしまった」
「“繰り言”は、」
「まあ最後まで聞き賜え。……覚えているか、初めて法案の話をしにきた日だ」

「……憎んで欲しかったんだよ、犯人を。一番憎む権利があるお前から、奴らが許されるなんて、そんなことは断じて認められなかった。
 感情を煽りたてるようなことをして、弱っていたお前に、思い出したくもないことを思い出させるようなことを言った」
「…………」
「結局、それでもお前は賛同してくれなかったが……今考えると、それで良かったんだろう。お前が賛同していたら、あのときの私はなにを言い出すか解ったものではなかった。ありがとう、すまなかった」

「……俺も、お前に言っときたいことがある」
「……聞こう。なんなりと言いたまえ」
「じゃあ言うぞ。お前が言ったあの日の話。……あの時、俺は多分凄く、疲れてたんだよ。
 いろんなものを一気になくした後で」

「無くしたものだけじゃない、二度と出来なくなったこと、これからのこと、理不尽なこと……考えることはいろいろあったのに、それのどれを考えるのも苦しくてさ。
 思い出すのさえ苦しかった。全部忘れたふりして逃げたかったんだよ。放っておいて欲しかったし、お前にも触れて欲しくなかった」

「でもそうやってぼうっと過ごしてるうちに、周りはどんどん変わってく。
 どこで暮らすか、どうやって暮らすか、仕事のこととか……考えるのも面倒なのに、放っておけない問題ばっかりで。そういう時にさ、お前が、怖い顔してとんでもないこと言い出すだろ」
「……怖い顔をしていたかね」
「雰囲気がな。……お前まで変わってどっか行っちまいそうで怖くて、とりあえず理由付けて反対した。
 あそこで何か、もう少し上手く言えてたら良かったんだけど」
「私はお前を不安にさせたようだな……」
「なったさ。見たことないくらい怒ってた。……でもな、お前が怒ってくれたから、少し楽だったよ」

「お前が怒ってくれたから、俺は消化不良の感情でパンクしないですんだんだ。酷い奴だろ?お前に悪役押しつけたようなもんだ。
 だから俺にも謝らせろよ。悪かった。
 ……お互い様なんだよ。だからさ、お前が負い目に感じるようなことなんか、もうないんだ」
PR



2010/11/30
prev  home  next
ブログ内検索

忍者ブログ [PR]
  (design by 夜井)