自分はコイツに振り回されているのだと思う。
例えば、だ。
始めの頃、抱きしめるのを躊躇った。
コイツが戦闘者だということも、食えない奴だということも解っている。
ただやはりこの体躯は、力を込めるには細いし軽すぎて、どうにも危なっかしい。
気を抜いている間に、ろくでもない悪戯をされたことがある。
すぐ調子に乗る奴だから、殴ってやろうかと思ったことさえあるのだが。
結局、実行できたことはない。
他にも普段は本心なんかちらとも見せない癖に、ふとした折に甘えてきたりする。
ガキや側近にそうすることがないのは知っているから、ついそれに応えてしまうのだ。
どうにも自分は振り回されている。
いっそ翼ごと腕の中に抱いて、飛び立てないようにしたいと思う程度には。
例えば、だ。
始めの頃、抱きしめるのを躊躇った。
コイツが戦闘者だということも、食えない奴だということも解っている。
ただやはりこの体躯は、力を込めるには細いし軽すぎて、どうにも危なっかしい。
気を抜いている間に、ろくでもない悪戯をされたことがある。
すぐ調子に乗る奴だから、殴ってやろうかと思ったことさえあるのだが。
結局、実行できたことはない。
他にも普段は本心なんかちらとも見せない癖に、ふとした折に甘えてきたりする。
ガキや側近にそうすることがないのは知っているから、ついそれに応えてしまうのだ。
どうにも自分は振り回されている。
いっそ翼ごと腕の中に抱いて、飛び立てないようにしたいと思う程度には。
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「少しはご自分の身分をお考え下さい」
「だが、」
「言い訳は聴けません」
「……ここにいては下が見えない」
「下々や地方のことなら年一の視察でご覧になって居られるでしょう?」
「…………か?」
「はい?」
「…市街に降りたいと、思うことはないのか?」
「私を幾つだと思っていらっしゃるのですか?もうそんな元気はありませんよ」
「…………」
「……もし、責務が重いというのなら」
「私は投げ出したいわけではないよ」
「解っておりますとも。……どうぞ覚えておいて下さい。貴方とこの国土を支えるのが私たちの役目だと。貴方にもしもの事があれば国は立ちゆかないのです」
「…市街に降りる元気はなくとも、人を押し倒す体力はあるわけだ?」
「お嫌ですか?」
「……いいや」
「ふふ」
「だが、」
「言い訳は聴けません」
「……ここにいては下が見えない」
「下々や地方のことなら年一の視察でご覧になって居られるでしょう?」
「…………か?」
「はい?」
「…市街に降りたいと、思うことはないのか?」
「私を幾つだと思っていらっしゃるのですか?もうそんな元気はありませんよ」
「…………」
「……もし、責務が重いというのなら」
「私は投げ出したいわけではないよ」
「解っておりますとも。……どうぞ覚えておいて下さい。貴方とこの国土を支えるのが私たちの役目だと。貴方にもしもの事があれば国は立ちゆかないのです」
「…市街に降りる元気はなくとも、人を押し倒す体力はあるわけだ?」
「お嫌ですか?」
「……いいや」
「ふふ」
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