なんだか堪らなくなって、頭を枕に押しつける。タオルケットを口元まで引き上げて、綿のシーツの上で丸くなった。
耳の裏側を血が流れる音がする。迷宮の底を流れる海流にも似た音。血の循環。一つの輪として巡ってフェンの命を動かすもの。
夕餉のスープに浮いたベーコン、昼に囓ったパン、朝出たサラダ。そういうものでこの体は出来ている。
(……きっと、心もだ)
乾いて縒れて掻き回されて、ぐしゃぐしゃだった心にほんの少しでも動く力を注ぎ込んだのは、一切れのサンドイッチだった。人に言えば笑われるだろう、それでも与えられた些細な切っ掛けで、確かに、あの時、自分は、
(……あ、)
思い浮かべた顔に、ひとりでに頬が火照る。もしあれが切っ掛けだったのだと言えば彼は笑うだろうか。笑うかも知れない、でもそれはきっと嫌なそれではない確信があった。
(どうしよう、あたし、)
脈打った鼓動一つにときめくなんてどうかしている。それでもこの一拍ぶんの血脈に彼が関わっているのだと思うと湧いてくる気持ちをなんと言えばいいだろう。
耳の裏側を血が流れる音がする。迷宮の底を流れる海流にも似た音。血の循環。一つの輪として巡ってフェンの命を動かすもの。
夕餉のスープに浮いたベーコン、昼に囓ったパン、朝出たサラダ。そういうものでこの体は出来ている。
(……きっと、心もだ)
乾いて縒れて掻き回されて、ぐしゃぐしゃだった心にほんの少しでも動く力を注ぎ込んだのは、一切れのサンドイッチだった。人に言えば笑われるだろう、それでも与えられた些細な切っ掛けで、確かに、あの時、自分は、
(……あ、)
思い浮かべた顔に、ひとりでに頬が火照る。もしあれが切っ掛けだったのだと言えば彼は笑うだろうか。笑うかも知れない、でもそれはきっと嫌なそれではない確信があった。
(どうしよう、あたし、)
脈打った鼓動一つにときめくなんてどうかしている。それでもこの一拍ぶんの血脈に彼が関わっているのだと思うと湧いてくる気持ちをなんと言えばいいだろう。
うちの子が自分の気持ちを自覚した瞬間の話。
ずっと「布団の中で気持ちに気づいちゃってうぎゃあってごろごろするよ!」と言っていた公約物。
やっと果たせました……
ずっと「布団の中で気持ちに気づいちゃってうぎゃあってごろごろするよ!」と言っていた公約物。
やっと果たせました……
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( 2012/08/30)
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