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2024/09/25

 抱き寄せた頭に鼻先を埋めれば、汗ばんだ肌と湿った髪の匂いがした。

 たったそれだけで、満たされてしまう。

 これ以上なんて、何を望んでいいのか解らない。

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 神羅

 形にならなかった話の断片を放り込んであるファイルを漁っていたら、うっすらと書いた覚えがあるようなないようなエロ本じみた話が出てきたので、出来心で手直ししてあげてみます…………


 ええと、お互いにとって不幸な擦れ違いが起きないように先にことわっておきますが、

 サイガ×アレックス です。

 今回ばかりは18禁とさせていただきたいと思います。
 18禁解禁になっておられない方はご遠慮ください……と言っても拘束力は全然ありませんけど。でも、とりあえず解禁になってない方は、書いた方はそれなりの理由があって18禁にしてるんだって事を考えた上で行動してください。

 手直ししてあっても、書き慣れない人が昔に書いたものですので、いろいろ粗的なものが目立ちますし、正直1行目初っぱなから爆弾です。多分笑うところです。
 きっちり仕上げようと思ったんですが、やっぱり途中で力尽きてしまったので中途半端なところで終わってます。


 あ、管理人が大変いたたまれないので、この記事に関してのメッセージはできるだけご遠慮ください……!
 一応お叱りとか指摘は受けますが、多分まともに返信できないと思います。

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「月見にしては浮かない顔だね」
「……何の用だね」
「今日は随分邪険だなぁ。用はないけど、強いて言うなら君が落ち込んでるかと思って」
「……慰めのつもりなら、酒でも持参したらどうだ」
「嫌だよ、泣かれたら困るじゃないか。僕はそんなのはごめんだ」
 羽毛の軽やかさでミロクから少し離れた屋根の上へと降り立ったホルストは、そう言って冗談めかして笑う。
「それに、僕は君がここで大人しくしているかどうか見に来たんだ。酒精なんて与えたら、また勝手をしそうな奴に、そんなサービスは出来ないよ」
 先刻のことを持ち出されて、ミロクは不機嫌そうに小さく鼻を鳴らす。
「気を揉まずとも、マキシと姉上に止められて、言うことを聞けぬほど身勝手ではないさ」
 ミロクはそのまま姿勢を崩して、屋根の緩い傾斜の上で寝転がってみせる。
 留められたからという理由もあったが、実際の所、ミロクは今ひどく疲弊していて、何をする気にもならないのだった。
 一時体中を支配した眼も眩むような怒りは、袖の上からでも伝わってきた、腕を掴んだマキシの体温だとか、悪友達の短慮を責める言葉や帰りを喜ぶ言葉で、なんだかすっかり醒まされてしまった。
 自分だけではどうにもならなかった猛烈な感情が去ってみれば、後に残ったのは怒りに燃え尽きた分すり減った気力で、ミロクはひどく疲れてしまったのだ。
 怒りの種はけっして消えたわけではないのだけれど、今は燃やす物もない。
 なら良いけど、言ってホルストはミロクに近づいてくる。ほんの数歩分しかなかった距離はあっという間に縮まって、ミロクはホルストに覗き込まれる格好になった。
「とりあえず、また君がいつか考えなしな事を起こす前に、一つ言っておこうと思うんだ」


「君が死んだら、僕は君の事なんてきっと忘れてしまうよ」


 まるで今までの冗談の一部のような軽さで落とされた言葉に、ミロクは思わず視線を上げる。
「解放されてすぐの頃の話は話しただろう?僕はね、あんなに良くして貰ったのに、もうあの女の子達の顔も名前もろくに覚えては居ないんだ。だから目の前から居なくなったら、君のことだってきっとすぐ忘れる」
「死者のことなど、早く忘れてしまうに限る。私はそれで構わない」
「そういう意味じゃあないんだよ」
 ホルストは首を横に振って、少し言葉を選ぶように考える。
「……僕は君を忘れたくないんだ。だから迂闊に死ぬようなことをしないでくれ」
 落とされた言葉に、ミロクはホルストを見上げたまま瞬いて、……けれど、結局、密やかに溜息を吐いてから、思うのとは別の言葉を吐き出した。
「……それは、あの彼女には言ったのかね?」
「フレリアーナのことかい?言うわけないだろ、恥ずかしい」
 では今の台詞は恥ずかしくないのかとミロクは思ったのだが、この悪友が珍しく真摯な言葉を吐いたのに免じて黙っておくことにした。
「それに彼女はね、君みたいな、風に揺れる柳みたいな性格じゃないんだよ。怒るのだって、何か憑いたみたいに怒るんじゃない。彼女はもっと強くて可愛くて激しいんだ。こんな事言ったら失礼だろう」
「私に対してはだいぶ失礼だな、君は」
 お互い様だろ、言ってホルストはその場に腰を下ろした。

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 神羅で平安妖怪ものパラレル。
 平安、とか言っても「平安っぽい感じ」の場所が舞台なだけで、平安時代・或いは陰陽師やらが活躍した時代の文化的考証はまったくと言っていいほど行われておりません。

 パラレルとかそういうの駄目って方は続きを読んではいけません。



 師匠とゼクウ様でシオンさんの話をする話。
 それにしてもこのパラレルは師匠しか書いてない気がします。
 …………おかしいな。最初は陰陽師サイガ様と蜜虫クオンさんが書きたかったはずなんですが。

 パラレル内での神様は妖怪の超上位版みたいな扱いです。
 地力が落ちると氏神の力も落ちるので、土地を守って安定させてくれる武将やら帝やら英霊には師匠は敬意を払っています。

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 神羅で平安妖怪ものパラレル。
 平安、とか言っても「平安っぽい感じ」の場所が舞台なだけで、平安時代・或いは陰陽師やらが活躍した時代の文化的考証はまったくと言っていいほど行われておりません。


 パラレルとかそういうの駄目って方は続きを読んではいけません。


 シオンさんと師匠でベリやん関係の話を云々。

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 神羅

泣いて良いよ。
そんな優しいことでも言えたら良かったですね。

でも言えないんです。一度選んだら、貫き通さなければならないことがあるでしょう?
僕は君を煽って叱咤して奮い立たせることしかできない。そうすることを選んだんです。

だからリュウガ、今更君に甘い事なんて言えない。

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2009/03/25

 さて、幾つもの尊い犠牲を出し、地上に数多の傷跡を残した大戦が終わった後、何が変わったのかと言ったら――結局何も、変わらなかった。
 いや、変わったことは変わったのだろう。
 今まで絶たれた世界であった天界と地上は平和を誓い、新しい神が生まれた。
 けれどそれがサイアスの生活に何かしらの影響を及ぼしたかといったら、そんなことはまるでなかった。
 戦争の傷跡は日々の営みの前にあっという間に消え去り、人々はまたかつてと同じ生活を送っている。サイアスも戦争で少しばかり名前に箔が付いたり、奇妙な因縁が出来たり、或いはこの少し特別な体質が世間に広まったりもした。だが、増えた肩書きは平和な世の中では使い道がないものだし、天界と地上の交流は相変わらずないし、サイアスの出生に関するあれこれも、興味本位で一年くらい騒がれた後はすっかり落ち着いてしまった。
 だから時々、あれは夢だったか、もう覚えている人も居ないくらい昔のことになってしまったのではないかと錯覚しそうになる。
 それでも、光の戦士達が天界から授かったという聖杯は確かに中央に保管されており、皇帝陛下の魔導の師の席はぽっかり空いたままだ。
 けれど逆に言えば、それくらいしかもう、戦争があった、と示すものはなくなってしまった。
 そんなもんでしょうか、とサイアスは以前人に問うたことがある。数少ない、彼より年上の一人は、笑ってそんなもんだ、と言った。
「はじまる前と終わった後は、案外なんも変わらんもんだ。変わるのは眼に見えないものだけで、見えるものは殆ど変わらん。変わったように見えても、驚くほどすぐ戻る。戦争で変わるものより、時間が経つにつれ変わる物の方がよっぽど多いぞ」
 そりゃ貴方が長生きだからでしょう、と突っ込もうかとも思ったけれど、人のことを言えた身分でもないので、その時は言わなかった。
 そう言った彼も、戦いに駆り出されて以来、復興の手伝いやら何やらでしばらくは忙しかったようだが、少し前からまた以前のように研究に専念する生活に戻ったようだ。時間は人を変えると言ったが、時間も戦争も彼等の生活スタイルを完全に変えてしまうことはないらしい。
 サイアスは彼等と違って一度しか大きな戦争を知らないので、彼が言うことが正しいのかどうなのか、変わらないことが普通なのか彼等がマイペースすぎるのかは判らない。判らないけれど、島は相変わらず空に浮かんだままで、サイアスは飛翔の間の鍵持ち――つまりは公爵を務め続けなければならないし、副官はカレンのままで、彼女につつかれながら仕事をしている。

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 Pisces

 巻き込むまいと思って手を放したことを、とても後悔しています。



 ここはどういう場所なのでしょう?
 とても暗くて冷たくて静か。そよとも空気が動かない。
 時間さえもきっと動いていないのでしょう、だってずっとこうして眠っているのに、朽ちることがないのですから。

 永劫これが続くのなら、なんて寂しい場所なのでしょう。


 貴方は今どうしているのでしょう。
 朽ちてしまいましたか?
 まだ私を捜していますか?
 それとも折角手を離したのに、貴方もまたこんな場所にいるのでしょうか?


 指先でも良い、貴方に会いたい。

 貴方の手を放したことを、とても後悔しています。

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2009/03/20
 音叉

 彼が人ではないことはすぐに判った。
 いかにも質の良さそうな白い服を纏った彼は、珍しい色の濃い肌をしていて、その肌色とは対照的にうっすらと灰色がかった髪は銀色をしている。そしてその前髪に少し隠れた額には、彼が人でないことを示す、赤い石が嵌っているのだった。

 (――あ。なに……?)

 その姿を見た瞬間感じた奇妙な既視感に、今まで感じていた不安も一瞬忘れて、メリルは瞬く。
 (私、この人を知ってる……? ううん、そんなはず無い、こんなに存在感のある人を忘れるわけない。)

 思いながら、メリルはそっと視線を逸らして顔を伏せる。神族や魔族の中には、時折額に3番目の眼を持っている者がいるのだと神話は言う。そしてその第三の眼には、大抵不思議な力が宿っているのだと。それに、他人の顔をあまりじろじろと不躾に見るものではない。
 その仕草をどう取ったのか、わずかに間をおいて、座りなさい、と声が落ちてきた。視界の端に映った手袋に包まれた手は、数歩離れた場所にある椅子を示している。
 その椅子が、どう見ても応接椅子で、しかも古びてはいるが手入れされた柔らかそうなクッションまで乗っているので、メリルはすっかり戸惑ってしまった。
 戸惑って、椅子と、彼の手とを見比べる。けれどどう取っても彼の発言はメリルに向けられたもので、彼の手は疑いようもなく椅子を示していて、散々迷ったあげく、メリルは慎重に椅子に近づいて、言われたとおり、座った。
「……顔を上げてくれないだろうか」
 言われてメリルはそろそろと視線を上げる。少し怖かったが、言うとおりにしないのも怖い。それに、どうやら目の前の彼は、メリルや村人を襲って食べてしまう羅震鬼達とは違うようだ。
 いつの間にか彼は、向かい側の椅子に腰掛けていた。その彼と眼があって、濃い青をした瞳が少し細まる。なるほどな、と彼が呟いたけれど、メリルには何のことか判らなかった。
「――俺の名はゼロニクス。今は神力を抑えているが、マキシウスと同じく神で――彼の友人だ」
 友人。この人――否、神様が。
 その一言はメリルを驚かせるのに十分だったが、それでもその事実は、ひどく自然に胸の内に落ちて、前からあったことのようにそこに溶けこんだ。
 (ああ。そっか。)
 気付いてしまえば、最前からの緊張が、少しだけほぐれた。この人は嘘を吐いていない。この人は、マキシ様の友達だ。

 (この神様が懐かしいのは、マキシ様の魂が、懐かしがってるからだ……)

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 静かな夜だった。星々の光が不気味に強く、けれど闇の濃い、生き物の気配をそこかしこに包容した濃密な夜。
 ふう、と雨期を過ぎて夏に向かう頃特有の、湿気を含んだ生温かい風が吹く。ごくゆるい風は梢を揺らすことすらなく、押し黙ったような生き物たちの間を抜けてゆく。虫の声すらない静寂は故無いことではない。彼等は知っているのだ。

 ――それは、見る者があったなら、空間が引き裂けたように見えただろう。何もなかったはずの中空が、陽炎のように歪んで、裂ける。星の光が歪む。破ける。裂け目に爪を立てるようにして、「ない」はずの場所から入り込んでくる影。
 そして、姿を顕したのはまさしく今宵に相応しい百鬼夜行であった。


 まったき月夜だ、と誰かが言った。
 その誰かの視線を追って、或いは土埃のない清浄な大気を吸い込んで、ああ、とまた別の誰かが感嘆の息を漏らす。もしかしたらそれは己だったのかも知れない。同じように誰かが歓びと安堵の入り交じった声を上げた。そうしてため息とも歓声ともつかないざわめきが、ゆっくりと拡がってゆく。
 怯えたように、小さな生き物たちが逃げてゆくのがわかる。この世界に生きる生き物だ。多分、もっと大きな生き物もいる。未だ敵意さえ見せていない相手から先を争って逃げていくような生き物が、この世界の覇者であるわけはない。生き物がいるなら、そこには必ずそれを喰う者を頂点とする階級が作られてゆく。階級の頂点は、もっと強く、賢く、大きな生き物のはずだ。そこまで考えて少しだけ不安になる。この世界に君臨する生き物と戦って、私達は生き延びられるのだろうか?
「――生き物が多いな」
 同じようなことを考えたのだろうか。誰かが言った。たった108の同胞も、声だけでは誰なのか解らない。
「追いやれ。屈服させろ。どうにかして我らの土地を手に入れなければならない」
 同調するように、そこかしこで声が上がる。牙を咬み鳴らす音が、大地を蹴りつける音がする。
「戦いだ」
「狩れ、喰らえ」
「弱き者の上に強き者を」
「戦いだ、戦いだ!」
 でも、と今度はもっと優しげな声をした誰かが言う。
「この世界の生き物を滅ぼすわけにはいかないわ」
「調和の崩れた世界がどんなのか、もう我等は知っているはずだ」
「どこまでは良くて、何をしては駄目なのか、それを見極めなくては」
 ふん、と白けたように誰かが鼻を鳴らす。
「そんなことはどうでもいい。だが腹が減った」
 わぁ、と歓声にも似た響きの応えと鳴き声とで賛同の声が上がる。
「狩りに出よう、同胞よ。生き延びるためには食餌が要る」
 声を合図に、いくつかの個体の気配が四方八方へと散ってゆく。やれやれと肩を竦め、顔を見合わせるものの、止める者は居ない。
 喰わなければいずれは死あるのみ。むしろ今まで同胞殺しや共食いが起こらなかったことこそが奇跡に近いくらいなのだ。
 ただ、肩を竦めた彼等は、逸って獲物を探しに行った者達よりは空腹を押さえつけておける理性があり、己と似たものを喰わず、獲物を生きたまま頭から囓るような文化を持たないだけだ。

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2009/03/02
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